今のキスはカウントしない！

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いつのもなら接触事故後すぐに大丈夫！？っと適切な対応をとる羽生結弦19歳。


しかしこればかりは流石に参ったのかしばらく唖然としていた羽生。


私達は小学生の頃から一緒にスケートをしてきた仲で…。


私が知っている限り羽生に彼女ができたことは無い。
私も生まれてこのかた19年彼氏はいない。


つまりお互い恋人がいない歴イコール年齢とゆうスケート人生だったため、今のは初めてのキスになるのだ。


「上田…。…上田！？ごめん！！大丈夫！？起き上がれる！？」


急に我に返ったように焦る羽生。
大丈夫？あぁ、怪我はない。大丈夫。


私は起き上がりぼーっと氷に座る。
すると羽生はすごく申し訳なさそうな顔をして私の目の前に座り、髪についた氷を優しく手で撫でて払ってくれた。


「し…しっかり周り見てよ羽生…」


「うん、ほんとごめん大丈夫？」


精神的には大丈夫じゃない。
けどそれは羽生にとっても同じだろうし、グズグズ言ってらんない。


「大丈夫だってば」


「頭うったよね？大丈夫？次のテストで20点下がったら俺のせいにしていいよ…」


「本当に申し訳ないって思ってんの？泣かしていい？？」


いつも私達は仲がいいのか悪いのかわからない友情関係。


こうしてさっきまでのお互い思考回路が回らないような状況と打って変わっていつもの和やかな雰囲気になる。


…あれ、もう羽生の中であのキスは“ただの接触事故”で割り切った？



「でもほんとごめん、痛いとこない？」


「全身痛い。慰謝料」


「そっか、大丈夫そうでよかった…」


聞いといて私の冗談はスルーする羽生。
なら聞くなよ、っと視線を送ると羽生は「俺も大丈夫」っとブイサイン。


いや羽生の状態も知りたかったけどそういう意味で送った目線じゃないよ、っとツッコミを心の中でしつつ「よかった」と声に出した。



そして羽生は再び練習に戻り、いつものように4回転をとび着氷、高さ、回転全て文句無しエクセレント。


私がジャッジだったらGOE+3あげちゃうほどの綺麗なジャンプ。


ほう。全く同様していない様子ですね。
なんだかさっきのキスを深く考えているようで、凄く悔しさいっぱいになった。



今のキスはカウントしない、そう決めた。




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