そっけない彼と私4

55 ページ10

―side change



ありえない…
結弦君のことは大好きだ。でもあんな理不尽な態度許せない




私が1人図書室の椅子に座りイライラしているとストンっと誰かが横に座ってきた





｢そんな不細工な顔して座ってたらみんな怖がるよ｣



山本草太だった。




｢悪かったわね不細工で｣






｢何でそんな顔してるの？羽生君のせい？｣






こんなにすぐ結弦君の名前を出すって事は、絶対確信して言ってるんだ
そんなこと山本君には関係ないでしょ





そう思ってるのに口に出すことも億劫に感じる私はため息をついて遠くを見た






｢…羽生君のせい、ってか俺のせいだよね｣





山本君は私と同じように遠くを見つめた
君のせいじゃないよ、って言わなきゃいけないのにこの最悪の状態を山本君のせいにしたがる私の心はどうしちゃったんだろう




昨日山本君が図書室に来なかったら…
もっと早く傘を持っていることに気づいてくれたら…






やばい、私いつからこんなに汚れた心の持ち主だったんだろう。




そんなたらればを考えたって仕方が無いのに





｢…なんだか眠たいな｣





この話自体を避けたくて私はたいして眠気もないのに頬杖をついて目を閉じた。






｢寝てていいの？こんな一大事に｣





｢…だってどうしたらいいのか分からないもん｣




｢教えてあげよっか。1番いい方法｣






｢え！知りた…｣





私が目を開けた瞬間、山本くんの顔がフッと近づいてきて…
避けるにはもう手遅れの距離で、あっと思った時には既に頬にキスをされた




ゆっくり離れた山本君は、結弦君とよく似た眼差しで私を見つめてきた





結弦君とは全然違うドキドキだ
幸せと感じるドキドキじゃない
どうしよう という焦りだと思う





私は、どうしてこうもどんくさいのだろう
自分で自分にイライラする





｢A｣



急に名前を呼ばれてはっとした。
山本君と目がそらせない





｢なに…すん…の…｣






｢単刀直入に言うよ。羽生君と別れて俺のこと好きになって｣






結弦君の言う通りだったの？
山本君は私のこと…まだ好きだったの？





怖くて聞けない。
でもこんなことを言ってくるんだからそうなのかな。





｢無理だよ…｣






｢俺のことちゃんと見て｣






山本くんはそう言って私の頬をそっと撫でた








・

56→←54

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す