そっけない彼と私4

80 ページ35

ハビエルはコーチみたいに的確なアドバイスをくれる。
フリーの練習をしている時、技術だけに精一杯で表情とか雰囲気が追いついていなかった俺




なんせ高校生の俺にはロミオとジュリエットのような悲恋はとてもじゃないが受け止めきれないのが本音。



だってつまり、Aも死んで俺も死ぬってことでしょ？平成の世でぬくぬく育った俺にはちょっと大人すぎる恋愛話だ




「なんか…掴めないんだよなぁ」



夜ご飯の時、目の前でチキンを頬張るハビエルをぼーっと見つめながら呟くと、口いっぱいにもぐもぐしながらハビエルは俺を見つめる。



…なんかハビエルって肉が似合う男だな




ごっくんと口の中の物を飲み込んだハビエルはコップの水を一気に半分ほど飲んでフォークをプレートの上に置いた




「お悩みかいロミオ」



「その呼び方やめて」



俺はチキンには手をつけず、マカロニサラダのトマトをフォークでぷつりと刺して口に入れた
まだ熟れてないのかなんだか分からないけどこのトマト酸っぱい…



甘いフルーツトマトが食べたくなった



「普通に妄想しようよ。」



俺の分のチキンに手をつけながらハビエルは何の躊躇いもなくそんなことを言った




ちょっと何言ってるのか分からない
普通に妄想？普通って何？
逆に異常な妄想があるの？


そんな俺の疑問を悟ったようにハビエルは1人で語り出す。




「ユヅルとAは両想いだけど俺とAが結婚することになって…」



「――はぁ？何それ嫌なんだけど」



何も刺さってないフォークを口に当てて前歯でがじがじ噛んで苛立ちをアピールすればハビエルは苦笑した



「最後にAは死んでユヅルも死ぬ」



「…ってかAとハビエルが結婚するとかさぁ〜！」




「そこも大事だけど、1人残されて生きていることに失望とAへの愛しさと悲しみを抱けないの？」




ふと想像してみる。
その感情を得るのはあまりにも簡単だった。



…想像したらなんだかAに会いたくなった



｢何〜？？ユヅルとハビ恋の話？混ぜて〜！！｣



少し面倒なことに、ハビが嬉しそうに話すもんで、俺がムキになって答えるから周りがすごく反応を示して、周りに集まってきた




・

81→←79

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す