そっけない彼と私4

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まるで世界のトップスケーターの1人だなんて思えないほど小さな嫌がらせをしてくる。



こんな馬鹿げたことするスケーター、結弦君ぐらいだ。
けれどそれが高校生らしくって、テレビで見る結弦君の大人っぽさはどこかへ行ってしまったように無邪気な姿を見れるのが嬉しい



今が幸せだなぁって思っていると携帯がなった。
着信音が2回のバイブで済んだからきっとメールだ。


「お母さんじゃない？」


結弦君は机の上に置いていた私の携帯を取って、はいっと渡してくれた。


メールの受信ボックスを開けると結弦の予想通りお母さんからのメールだった。


“いつまで結弦君のとこにいるの。早く帰って来て。ポン酢買って帰ってね”



早く家に帰って欲しい理由は絶対ポン酢が欲しいからだろう
最初にちょっと母親らしく注意したあとにお願い入れるんだから


「…じゃあそろそろ帰るね？寂しいと思うけど」



「全然平気だからさっさと帰って」


「ひどい！」



「冗談だって」


冗談だって、っと真顔で言うあたりまったく心がこもってないんですけど


「ありがとう。Aが風邪ひいた時はノート写させてあげるからね」


玄関までの廊下で、結弦君はそう言った。
ノートって…いやノートも大切だけど…


さっきも言ってたけど本当にこの人お見舞いに来る気はない


まぁ来てもらって風邪がうつることを考えたら来ない方がこっちとしても安堵するのだけれども


「結弦君フローリング冷たいしベッドで寝てていいよ私大丈夫」



靴下を履いていてもフローリングの冷たさが伝わってくる
病人だって言うのに裸足の結弦君はもっと寒いに決まってる



これ以上風邪が悪化しちゃったら大変だ



「鍵閉めないと」


だからさっさと歩いてと私の背中を押す結弦君


私のお見送りじゃないんかーーい


まぁ…そうだろうと思っていたよ？
だって結弦君だし？


私は少し踵の高いヒールを履いて立ち上がる
さっきより5センチだけ高くなる視界


滅多に履かないから少し歩きにくいんだけども。


「じゃあね、結弦君また明…」


さよならを告げようと、くるっと振り返ると、不意打ちで急にちゅっと唇にキスされた。


さっきまであんなに嫌がっていたし、素っ気ないしまさかキスされるなんて思いもしなかったため私は驚いて硬直



「おー。ヒール高くなるとキスしやすい」




本人はとても感心しきって何度も頷く


私は今度からヒール履こうかななんて思いながら帰った




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