最終話 ページ8
誰もいない公園で、一人カイラを待つ。
毎日飲まなければならない薬を今日は飲まなかった。
いや________、もう一生飲まないだろう。
だって、今の私はそんなものがなくても生きていけるから。
カイラが、私を変えてくれたんだ。
『______あ、カイラ。来てくれたんだね』
数十分も経たないうちに、カイラは息を切らしながらやって来た。
ひざに手をあてて、目の前でぜいぜいと苦しそうにしている。
「お、お前……体は大丈夫なのか?」
『う、うん…。あの、ちょっと休みなよ』
カイラは話を聞かず、私の心配ばかりしてくる。
「あれほど外が怖いと言っていたのに、なぜこんな急に……」
『…もう、怖くないよ。私思い出したから』
「思い出すって…。まさか、あの手紙のことか?」
『うん。今まで忘れててごめんね』
カイラは、もしかしたらあの告白された子と付き合っているのかもしれない。
それでも、私は伝えたい。
たくさんの感謝と、愛をあなたに。
『私も、カイラのことが好きだったんだ。ずっと、ずっと前から!』
言えた。
ちゃんと言えた。
カイラが好きだって、伝えられた。
「……! A、それは本当か?」
『うん。……でも、カイラには彼女がいるし、付き合おうとか、そういうのじゃないから安心して?』
「…………彼女? 私に彼女なんていないが」
……えっ。
どういうこと?
『こ、告白されたって言ってたじゃん!』
「あぁ…。あれについては丁重にお断りさせて頂いた」
『な、なんで!』
「なんでって……。 私には守らなければならない大事な人がいるからな」
『え……』
カイラの顔が近づき、唇が頬に触れた。
「お前が好きだ、A。これからも、あの時の約束を守らせてほしい」
『………! うん、こちらこそよろしくね!』
カイラが笑い、私もつられて微笑んだ。
風が吹き、花がそよそよと揺れる。
まるで、二人のことをを祝福しているようだった。
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピカヒカリ(プロフ) - 歌の良さがよく生かされた良い作品だと感じます。更新頑張ってください!! (2019年10月16日 18時) (レス) id: 20cb221a7f (このIDを非表示/違反報告)
ピカヒカリ(プロフ) - 参加ありがとうございます!お恥ずかしながら、「銀河街の悪夢」と言う曲を知らず聴いてみたのですが良い曲ですね。 (2019年10月16日 18時) (レス) id: 20cb221a7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:グレン | 作成日時:2019年9月25日 17時