1話 魔法使い ページ2
もう何年も外に出ていない。
もちろん、学校にも行っていない。
そんな私にも、「友達」といえる存在が一人だけいた。
「お前なぁ、新学期だろ。そろそろ学校に行ったらどうだ?」
『やだよ。私はカイラがいてくれればそれでいいもん』
カイラは私の幼馴染みだ。
病んで、不登校になってしまった私に毎日会いに来てくれる。
「じゃあ、私がいなくなったらどうするんだ?」
『え………』
……いなくなったら?
答えはすぐに出た。
『カイラはいなくならないよ。約束、したでしょ?』
______あれは、私達がまだ小さかったとき。
カイラは白詰草で作った冠を私の頭にのせてこう言った。
「ぼくたち、ずっとずっと一緒にいようね! おじいちゃんになっても、ずーっと!」
あの時交わした約束をカイラは今も守っててれている。
だから、いなくなったりなんかしない。
「……まだ覚えていたのか」
『当たり前でしょ!私、嬉しかったんだから!』
「……まあ、あの時の約束はこれからも守ってやる」
『ほんと!?』
私が身を乗り出すと、カイラは優しく笑った。
どんなにつらいことがあっても、カイラの笑顔を見ると全部消し飛ぶ。
まるで、魔法みたい。
私を守ってくれる、暖かくて、優しい魔法。
「もう7時か………。そろそろ帰らないとな」
『あ、うん。じゃあね』
明日も来てくれるかな。
私が手を振ると、カイラは右手をあげて微笑んだ。
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピカヒカリ(プロフ) - 歌の良さがよく生かされた良い作品だと感じます。更新頑張ってください!! (2019年10月16日 18時) (レス) id: 20cb221a7f (このIDを非表示/違反報告)
ピカヒカリ(プロフ) - 参加ありがとうございます!お恥ずかしながら、「銀河街の悪夢」と言う曲を知らず聴いてみたのですが良い曲ですね。 (2019年10月16日 18時) (レス) id: 20cb221a7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:グレン | 作成日時:2019年9月25日 17時