54 ページ11
.
「銃声……?」
女の車はもう見えない。
しかし、こちらに進んで行ったのは確かだ。
このまま行けば、赤井さんの車によって足止めを食らうはずだけど。
聞こえてきたのは、銃声。
車の中にいたから微かに聞こえた程度だけれど、あれは確かに発砲の音だった。
しかも、ライフル的な音。
FBIならライフルを持っているだろうし、あの赤井さんだ。
狙撃の腕は確かにある赤井さんなら、撃つのかもしれない。
銃声が聞こえたその先で破壊された壁から海へと放り出されていく車が数台見える。
トラックと、黒い車。
あの車は女が乗っていた車だ。
そして、直後、ひどい爆発と爆風と共に、車体が揺れる。
「うわっ」
降「爆発だと!?」
油断していたからか、突然の揺れにお互い焦る。
急いでハンドルを切る降谷さんと、グリップを掴んで揺れに耐える私。
車は障害物の前まで進み、停まる。
障害物の中には赤井さんの車も含まれる。
かなり大きな爆発だった。
こんな爆発に巻き込まれていたのなら、いくら組織の人間でも生き残れない。
ノックリストが盗まれた。
警察庁が掴んでいる世界中のスパイ情報が載っているリスト。
それが盗まれたから、女を捕らえようと必死になっていたけれど。
これじゃもう、捕らえるどころの話じゃない。
降「車の中で待っててくれ」
「え、降谷さん、ちょ、どこに」
降谷さんがシートベルトを外したかと思うと、突然車のドアを開け外へと飛び出して行く。
どこに行くの、そう問いかけようとしたのに、降谷さんは聞く耳持たずだ。
私が出て行っても、赤井さんに正体がバレるだけ。
それを考慮して待つように指示したのかもしれないけど。
もうちょっとちゃんと言ってくれたらよかったのに。
降谷さんが下を確認する。
見た感じの爆発の大きさ・被害の大きさを確認しているのだろうか。
チラッと赤井さんを見る。
赤井さんの手にはライフル。
やっぱり、あの音は銃声。
赤井さんが撃ったんだ。
どこを撃ったんだろうか。
即死させる為に頭か、車を止めるために車のどこか……タイヤか。
よく見ると、道路にタイヤ跡が残っている。
タイヤを撃ち、バランスを崩させ、下にドボンか。
完全にやられた。
赤井さんは全てを読んでいて、それでいて冷静に状況を判断した。
彼の方が一枚上手というわけだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 359人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カルーア - いつでも更新待ってます、頑張ってください!応援してます (2023年4月26日 22時) (
レス) id: 12bbba78f7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 面白すぎて一気読みしちゃいました、、、！毎回毎回、次のお話に進む瞬間が楽しくて仕方がなかったので、更新停止中の文字を見たときは動き止まりました笑笑続き土下座待機してます！無理せず頑張ってください！応援してます！！ (2023年4月12日 17時) (レス) @page13 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
鈴乃ちひろ(プロフ) - äöüëÿさん» コメントありがとうございます。面白いだなんて、そんな、めちゃんこ嬉しいです…！！これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2023年1月15日 21時) (レス) id: bd08e2bf01 (このIDを非表示/違反報告)
äöüëÿ - すみません「ください」が「くでさい」に、、、、 (2023年1月11日 18時) (レス) @page13 id: b4769954a9 (このIDを非表示/違反報告)
äöüëÿ - とても面白いです。。これからも頑張ってくでさい☺︎ (2023年1月11日 18時) (レス) @page13 id: b4769954a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴乃ちひろ | 作成日時：2023年1月5日 16時
