手帳 �� ページ20
たくさんの人が殺された、このまま逃げられては遺族に顔向けできない。
だから、ヴァンサンが隠している国を。
その能力で見つけてくれ、と請われた。
私は承諾した。
承諾するしかないように仕組まれていた。
騎士団に連れていかれ、能力を使って国を見つけた。
しかし、国の長……ヴァンサンは強かった。
実践経験のない騎士団など、赤子の手をひねるように潰してしまった。
私は囚われることになったが、城にいるときよりもずっと楽しかった。
私を利用しようとしたり、悪意や害意に晒されていたあの頃と比べれば、軟禁されてるとはいえ、王自らやって来ては不便がないかと聞いてくれたり、心優しい使用人たちをつけてもらって。
幸せだった。
私がもう人間の国と繋がっていないことがわかると、呆気なく解放された。
そのときにはもう、私はヴァンサンが好きになっていた。
部屋を訪ねるたびに見えてしまう、冷酷な表情の裏に隠れた感情を見てしまったのだ。
一目惚れだったらしい。
それから少しずつ、好きになってくれたらしい。
私は死んでしまって、元の世界には帰れないし、六十年前に本当は何があったのかも知らない。
だけど、この国はとても素敵だと思えた。
ここで死にたいと思えた。
何年も過ごす中、私はヴァンサンと結婚して子供を妊娠した。
ヴァンサンとの子を妊娠している最中にやってきた、宰相の息子が可愛くて、地球での話を少しした。
たくさんたくさん幸せを貰った。
人間の国では聖女と呼ばれていたけど、ここでは本当の名前で呼んでもらえる。
この子の名前は何にしよう。
男の子かな。女の子かな。
ヴァンサンに似て綺麗な子になるのかなーー。
☆……☆
「ここで、文章は終わっているわ」
日記のようだった。
私はちらり、とアルドを見る。
アルドは黙りこくっていた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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蒼鉛 - れてぃちゃんかあいい (2020年11月20日 21時) (
レス) id: 0d8498869d (このIDを非表示/違反報告)
ネロ(プロフ) - ななさん» ありがとうございます！ 更新ゆっくりになるかもですがよろしくお願いします！ (2020年4月26日 13時) (レス) id: c7ce3281d5 (このIDを非表示/違反報告)
なな - とっても面白いです！絵も上手ですね〜！夢主ちゃんめっちゃ可愛い！更新頑張ってください！ (2020年4月24日 21時) (レス) id: 0166b3d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ(プロフ) - 小倉さん» ありがとうございます(*＞∇＜) (2020年4月22日 12時) (レス) id: c7ce3281d5 (このIDを非表示/違反報告)
小倉(プロフ) - おおお…面白い物語が始まりそう…！こっちも頑張って下さい！(`・ω・´)b (2020年4月22日 12時) (レス) id: 6c749d243c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネロ | 作成日時：2020年4月22日 11時
