乃木坂の本当のキャプテンは…3

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Asideー12年前ー

父「お前は馬鹿なのかっ⁉」

母「ごめんなさい…」

父「もううんざりだ‼」

もともと気性が荒い父親
母親の両親とも自分の両親ともなんか揉めたらしい

母親は詐欺師によく引っかかるような人で
また何か買わされたんだろう

それで父親の逆鱗に触れてしまったのか

雫「うわわぁぁん…」

まだ小さかった雫が泣けば、父親の標的は雫に変わってしまう

父「うるさいなぁ‼黙っとけ‼」

A「お父さんっ、待って」

父「どけっ‼」

A「私がなんとかするからっ！」

今、離婚されたら困る…
お母さんは仕事とかなにもできない

父「お前になにができるっ‼」

A「子役、売れたら結構儲かるの…知ってるでしょ」

父「演技を習うのにまた金がかかるだろ」

A「ううん大丈夫…私なんとかするから、時間ちょうだい…お願い」

なんとか了承してくれて、やっと落ち着いた
目を離せばすぐ遊びに行ってしまうような母親だし

父はその日からしばらく家には帰ってこなくなって、
私はその間に子役の事務所のオーディションを受けて合格した

A「もしもし、お父さん？…ドラマ出れることになったから」

私は演技とかは感覚で、周りの役者を見ながら
ひたすら頑張った…

監「Aちゃん、親御さんちょっとあれなんだって？」

A「！…監督」

そこであったのが永井監督だった
その時はまだベテランって言われてなかったけど、
いろんな人がすごいっていうくらいすごい人だった

A「あの…それ、黙っててもらえませんか…」

監「ああ、わかってる…ただ、提案なんだけどね？しばらくうちに来ないか？ドラマの撮影期間中だけでもいい、僕の子供がね交通事故で死んでしまったんだ…それで、奥さんが落ち込んでしまって」

A「…でも、妹が1人になっちゃうから…」

監「妹も連れてきてくれてもいいよ…ちょっとしたお泊り会って思ってくれていいから」

A「…聞いてみます」

結局、私と雫はドラマの撮影期間中
監督の家にお邪魔して、本当に子供みたいに過ごさせてもらった

撮影が戻ればあの家に戻らなきゃいけない…

雫「お姉ちゃん…私、帰りたくない」

A「！…雫」

明日、帰る
そんな日に、雫がそう言った

雫「だって…」

A「わがまま言わないで？」

雫「やだよ、お姉ちゃんがいない時お母さん怖いもんっ…」

A「え？」

私はその時初めて知った
私とお父さんがいない時、お母さんが雫に当たってることに…

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