乃木坂の本当のキャプテンは…3

最悪の再会 ページ11

Aside

何年振りかに会った私の母親は、昔の面影なんて一切残ってなかった
ロングの金髪
サングラスに
真っ赤なスカート
革ジャン

バブル時代かって
突っ込みたいくらいの服装に呆れて
その変化に唖然とした

恵「そうだ…これ、Aと雫にお土産よ」

A「結構です」

この人は雫がいないことも、父が死んだことも知らないのか…
私の声は、自分で思っていたよりも冷たかった

拓海さんが雫のことを言おうとするのを、目線で止めて
私は母親と向き合う

A「今更、何の用ですか？」

恵「何年振りかの母親に向かって、何の用って…あなたの事を探していたのよ？」

A「…なんで？」

恵「私の娘だから」

A「死んだふりまでして逃げたくせに？」

恵「逃げてなんかないわよ」

いい加減、私の我慢の限界だった…
開き直った母親を今にも殴りそうなくらいに

A「じゃぁ…どういうつもり？あんたのせいで、どんだけ雫が…」

拓「Aちゃんっ…」

A「っ…ごめんなさい」

掴みかかろうとした私を、拓海さんが止めた
一応、警察官…
暴行罪にでもなったら困るからだろう

それに、私はアイドルだ…
誰か見てるか、わからない外で
怒鳴り散らすわけにはいかない…

A「私はもう…あなたの事を母親だと思いたくない」

恵「！…私はこんなにあなたを愛してるのに」

そう言われて、私は完全にあきれた
もう言葉も出ないくらいに

拓「恵さん、今日は…」

恵「部外者がうるさいわね、私の娘よ…言う事を聞くの、A…もう一度家族で住まない？」

前にもこんなことがあった…“俺の言う通りにすればいい”
父親の声が頭の奥で響く
何かと似てるよ、2人は

A「…私をなんだと思ってるの？…自己中でどうしようもない大人しかいないの？」

拓「Aちゃ…」

A「…だから私は…こうなったんじゃん…もうやめて」

今までずっと言いたかった…
理不尽だって思ったら、自分が惨めに思えたから言わなかったけど…

恵「私がいつ自己中だったのかしら？私はずっとあなたたちのことを考えて…」

無意識…
1番タチ悪いよ…

白「り、A…？」

A「！…さよなら」

偶然通りかかったのか、麻衣と奈々未が私を呼んだ
…私は逃げるように母親から離れた
もう見たくない

恵「A、私はあなたのことだけを…」

言おうとしてる言葉がわかったから耳を塞いだ

A「行こっ…」

白「ちょっ…」

2人の手を引いて、私はそこから逃げ出した

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