乃木坂の本当のキャプテンは…

約束 ページ34

深川side

今日は初披露だから、出ないけどアンダーメンバーもみんなで来てる
選抜の子たちみんなすごい緊張してるから、こっちも緊張しちゃうよ〜っ
私は選抜メンバーの子に飲み物を買おうと思って、自動販売機を探してたんだけど
なかなか見つからなくていつの間にか人気のない場所まで来てた

深「あ、あった」

やっと見つけた、はやく買って部屋戻らなきゃ
何買おっかな

？「…そう…ですか」

誰かの声がして、反射的に隠れてしまう
別に悪いことはしてないんだけど…

…この声ってAだよね
電話してるのかな

A「…すいません、今仕事中で行けません…終わったらすぐ行きますから…」

なんの事だろう
誰かと約束してるのかなぁ
でも、それにしてはトーンが低すぎるっていうか…

A「でも、今はどうしても行けないんです……すいません、雫の事…お願いします」

雫？…って誰だろう
知り合いかな

『ピッ』

A「…なんで今日なの…よりによって…」

深「…A？」

A「っ⁉…い、いつからいたの？」

さっきの声と違って、明るく笑ってるけど、
顔引きつってる…

深「どうしたの？用事？…雫って人と」

A「…」

深「A？」

A「…まいまいならいっか」

深「？」

そう言ってから、急にいつもの笑顔は跡形もなく消えてしまう
A…変だよ

A「雫は私の妹…電話は入院してる病院から」

深「…入院？」

妹がいるなんて知らなかった
しかも入院って…病気なのかな

A「今…心肺停止…多分、あと何時間かで死ぬんだって」

深「え…」

“あと何時間かで死ぬんだって”
Aの言葉を理解するのに、時間がかかった
何度か頭の中でリピートされてから慌ててAの方を見る

A「まぁ…前からわかってた事だけど」

深「い、今すぐ行ってあげないとっ…」

A「こんな時に行けるわけないよ…デビュー曲の初披露、私が抜けたらフロントメンバーが1人かける…そんなの無理」

深「だからって…‼」

A「私は行っちゃダメなの、約束だから…なんかあっても、仕事優先してって言われてるから」

そう言うAの顔はとても辛そうだった…
1番行きたいのはAなのに、1番約束を破りたくないのはAなんだ
前からわかってた事って…今まで、私たちにずっと隠してたの？

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