【〃】此処は… ページ8
you side
意識が戻った、と言えばいいのか、目が覚めたと言えばいいのか。
気が付くと、真っ暗闇に一人ぽつんと立っていた。辺りをぐるっと見渡すが、特に何かあるわけでもなくて、広い空間なのか、狭い空間なのかもわからない。
取り合えず、私は真っ黒な床を歩き出した。
コンクリートのように硬い床は私が歩くと「かつーん…」と音を鳴らす。その音が響いているのがわかる。もしかして、此処はある程度の空間が広がっているのか。
ふと、立ち止まって自分の体に目を向けた。通学用の靴に、学校の制服。何時ものジャージ。
全てのことに疑問が浮かぶ。何故、私はここにいるのか、此処は何処なのか。此処に来る前のことを思い出そうとするが、全く思い出せない。考えても無駄だと思い、再び止まっていた足を動かし、歩き出した。
歩き出してから既に10分は経っているのではないだろうか。だが未だに何も見当たらない。壁にすら出会っていない。もしかして、この空間から抜け出すことは不可能なのか、と不安になる。
たとえ、人と関わるのが嫌いだった私でも今は違う。信頼できる人もいて、一緒にいて楽しいと思える人も増えてきて、また、人の温かさがわかるようになってきた。だから、人が傍にいないだけで、こんなに落ち着かないんだ。
私は立ち止まり、その場に座り込む。徐々に目が熱くなり、視界がぼやけてくる。涙が出るのを抑えるため、私は強く目を擦る。
再び、存在するのかわからない出口を探すため、床に手をつき、立ち上がろうとした。
その瞬間、私は目を疑った。
「床が、揺れてる……？」
コンクリートのように硬かった床が、液体に変化したように波紋のように波打っている。次第に床は波立ってくるが、波紋の中心とここからは距離があるからのか、さほど影響はない。私は波紋の中心に向かおうと走り出した。
徐々に波も高くなる。転けないか心配し、波打つ床に少しだけ目をやる。すると、私の歩く場所は周りの床に反し先程の硬い床になっている。だが、深く考えている暇はなかった。
やっと波紋の中心に来たかと思えば、人が黒い床に飲み込まれていた。その人は紛れもなく、猿山先生だった。私は急いで駆け寄り、力を振り絞って沈んでいく先生の腕を引っ張る。
「…猿山先生っ！！」
「…俺の名前、なんで知って___」
その瞬間私の両手から先生の腕がスルッと抜け、先生は真っ暗な闇の中に取り込まれていく。
また一人になってしまった。
涙が視界を揺らす。
「っ、猿山先生……」
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みなもち(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！本当にめちゃくちゃ面白いです！！ (7月3日 0時) (
レス) @page10 id: 422edee945 (このIDを非表示/違反報告)
紙袋執事 - やっと更新出来ました。遅くなり、本当に申し訳ありません。 (2022年6月20日 1時) (レス) id: cc051e5f63 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きが楽しみです！頑張ってください(^^ゞ (2022年2月16日 2時) (レス) @page5 id: 0634fc6b20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紙袋執事 | 作成日時：2022年2月6日 19時
