【〃】塵 ページ4
猿山 らだ男 side
「あれ、裸足だ……」
俺は素足で、服も部屋着姿だった。
すっかり忘れていた、さっき“見知らぬ女の子”が闇に取り込まれていく俺を助けようとしてくれたこと。ついさっきの記憶が消えつつある。まず、何で俺、こんなとこに居るんだ。
「らっだぁっっ!!」
俺の背にある校庭から聞こえた一つの声。振り返った瞬間、何かが塵(ちり)と化していくのが見えた。その塵は、まるで向日葵の花弁のような綺麗な“黄色”だった。
地面のタイルに散らばったままの黄色い塵。
そして先程の声は、この空間がかき消したように辺りはしん、としていた。
俺は彼らを探すため、ひんやりとした学校の廊下を歩きはじめた。
すると、一人の生徒を見つけ俺は付いて行った。
彼が向かったのは、昇降口とは違うが校舎をでたところ。其処には古びた小屋が二つと、作物の実っていない畑があった。その小屋の前で、“俺”と三人の生徒が楽しげに話していた。
俺はその光景に驚き、一度目を擦る。変わらない。
俺は足を進めようとしたが、足の裏が地面にくっついているように動かない。
すると目の前の“俺”が、三人の生徒から一歩下がり何処からか出した【草刈り鎌】の刃を三人に斬りつけた。辺りに血が飛び散り、倒れ込む生徒たち。目の前の“俺”は立ち尽くしていた。そして死体をただただ、眺めていた。
すると俺は動けるようになり、“俺”に近づこうとした。
「あっ……」
だが、“俺”と死体の生徒は、先程の黄色い塵のように原形を残さず塵になった。今度は灰色、いや黒に近い塵になった。
俺は小屋の側まで来て、小屋の中に銀色に光るモノを見つけた。
「……職員室の鍵?」
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みなもち(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!本当にめちゃくちゃ面白いです!! (7月3日 0時) (レス) @page10 id: 422edee945 (このIDを非表示/違反報告)
紙袋執事 - やっと更新出来ました。遅くなり、本当に申し訳ありません。 (2022年6月20日 1時) (レス) id: cc051e5f63 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 続きが楽しみです!頑張ってください(^^ゞ (2022年2月16日 2時) (レス) @page5 id: 0634fc6b20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙袋執事 | 作成日時:2022年2月6日 19時