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目黒side
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───熱い。
クーラーつけっぱにして寝た気がするけど、
ってそうじゃなくて。
眠い目を擦れば少しずつ鮮明になる意識と、
右腕に感じる不審な重さ。
若干嫌な予感が胸をよぎりつつ
見下ろせば視界に入る見慣れた金髪に、
一旦俺の思考は停止した。
───なんで、こいつがここにいんの。
昨日の夜 突然泣き止んで寝だしたラウに
そのまま布団を掛けて寝かせてやって
俺はその隣のベッドに寝転んで、
…つまり確実に俺らは別々に寝たはずで。
「…めぇめ、」
あ、起きた。
「…」
いや、起きてない、寝言だ。
目「──夢の中でも俺と一緒なの?」
昨晩の気怠そうな表情は一切見えない、
今はただ、すげぇ幸せそうな顔で
長い睫毛も、ほんのりピンク色の頬も、
赤ん坊みたいに柔らかそうな白い肌も。
まだ少しだけあどけないその顔に
ハラリと金色の髪が落ちるのを見て、
純粋に綺麗だなって、柄にもなく
天使ってこんな感じなのかな、って。
目「…」
そっとラウの背中に伸ばした手は、
ただゴツゴツした肩甲骨に当たるだけ。
───羽、生えてないや。
まだ赤ちゃんだからかな、とかそんな、
…なに、訳わかんないこと考えて。
.
ラウールの手がしれっと俺の浴衣の中に
侵入してきてることはさておき、
敢えて起こさないでおくのも悪くないな、なんて
だんだん俺まで油断してんの、
これがお前に溺れた奴の末路なの?って
寝てるお前には分かんないか。
「……めぇめ、」
不意にラウが小さく鳴くから、
また寝言かと苦笑混じりに顔を覗けば
「…もっと、なでなでして、?」
閉じていたはずの目がぱっちり開いて
その大きな瞳が俺をじっと見つめていた。
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Jasper(プロフ) - chirolさん» chirol様、勿体ないぐらいの素敵なお言葉、本当にありがとうございます(泣)私の拙い文章を愛して下さる方が1人でもいてくださるだけで、本当に心が救われます…。また気まぐれに新しいお話を書いた際にはぜひ、気軽に遊びに来て頂けたら嬉しいですm(´・ ・`)m (2021年9月15日 0時) (レス) id: db6e7a06b3 (このIDを非表示/違反報告)
chirol(プロフ) - Jasperさんのmmruを愛してやまない者です。前回から旅行編を楽しみにしており、素敵な癒しの時間でした。幸せホルモンが爆発するのはこういう事ですね。ありがとうございます!季節はち変わりましたが、またJasperさんのmmru作品にお会い出来るのを楽しみにしてます! (2021年9月14日 13時) (レス) id: bc801c9a01 (このIDを非表示/違反報告)
Jasper(プロフ) - ゑさん» 大丈夫ですよ〜!(笑)引き続きお楽しみ頂ければ嬉しいです(^^♪ (2021年8月13日 1時) (レス) id: db6e7a06b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゑ(プロフ) - Jasperさん» いえいえ!!そんな罪悪感なんて感じないでください笑 すごく幸せで快眠でした…幸 (2021年8月13日 0時) (レス) id: 7b222a0e4e (このIDを非表示/違反報告)
Jasper(プロフ) - ゑさん» なんと!(笑)なんか、申し訳ないです…(謎の罪悪感)でも、それだけご愛読して頂けてるなんて凄く嬉しいです!ありがとうございます(>_<) (2021年8月12日 16時) (レス) id: 61c405a2cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Jasper | 作成日時:2021年8月2日 0時