Butterfly -tkin- 《1》 (ページ37)

今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:138,414 hit

37 ページ37

雄也side

伊野尾くん…？

慧｢じゃ、前の続きやるよ？｣

あれ、今のは見間違い？

大｢俺、もう平方完成完璧だから｣

慧｢問題はそのあとだからね？

平方完成はグラフを書くための
準備なんだから笑｣

ほんの一瞬、なにか胸につまったみたいに
映った伊野尾くんの表情が、頭に残って離れない。

慧｢次はここの正負を確認して、
グラフが上に凸か下に凸かを決めて─｣

伊野尾くんだって俺と目が合ったの
気づいたはずなのに。

慧｢分かった？大ちゃん。

──たかぎも｣

雄｢あ、うん…｣

なんで何も無かったように振る舞うの？

.

もう煩いぐらいに蝉の声が響く7月後半。

緑の草木が風に揺れるのなんか、
俺にはそれが興味の対象になることもなく。

特に用事も無いからと朝からダラダラと
ベッドから動かずに居ると、
傍に置いたスマホが通知を知らせて。

宏『今度の夏祭り、行ける人ー？』

グループLINEだった。

──そういえば、今年も開催されるのか。

ぼんやりとした意識のまま
その日なんか予定あったっけなぁ、なんて

起き上がろうとした時、
家のインターホンが鳴った。

…裕翔？

.