Butterfly -tkin- 《1》 (ページ36)

今日:24 hit、昨日:13 hit、合計:138,528 hit

36 ページ36

慧side

.

大｢なんか課題範囲表にさ、
夏休み中にオープンスクール行っとけ、
みたいなの書いてなかった？｣

ゲーム機を左手、マックシェイクを右手に
大ちゃんが思い出したようにそう呟いた。

雄｢えっ、そーだっけ？｣

そんでもってどうして高木は
何も知らないの…

慧｢課題に二重線で書かれてたけど、｣

まぁ学校的には、高1のうちに
なんとなくでも大学の目処は立てといて
ほしいというのが本音なんだろう。

俺もまぁ、密かに考えてはいるんだけど…

それが正しいのかはまだ分からないし、
まだ正直それを二人に話す勇気もない。

慧｢まぁ、まだそんなに
焦ることもないと思うよ？｣

そう二人にかけた言葉も、ほんとは
ビビってる自分にかけ続けた言葉なのかな。

大｢じゃあいっか。

てかそれよりも俺、
読書感想文がピンチなんだけど｣

雄｢分かる！まず本一冊
読める気がしないんだよね～｣

だからたまにこんな風に
なんも考えてない二人の顔を見て
どこか安心してる自分が居ること、

いつか、ちゃんとした言葉で
伝えられる日が来るのかな…なんて

大｢──って、聞いてる？伊野ちゃん｣

慧｢あ、うん…

ごめん、ぼーっとしてた笑｣

雄｢…｣

不意に高木と合った目に、

いつかの記憶、あの日立ち止まった高木と
それが、重なった気がした。

.