Butterfly -tkin- 《1》 (ページ4)

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慧side

" 1年6組 "、男子体育。

キュッ、キュッ、
シューズが床に擦れた音が響く体育館で

授業もあと10分程度の中、
1つのボールを奪い合って
絶賛バスケの試合中。

大｢伊野ちゃん、ほらっ
ちゃんとボール追いかけて！｣

同じチームの大ちゃんが
汗をかきながら俺に叫ぶ。

慧｢もう～俺球技苦手なんだって～｣

大｢球技だけじゃないでしょ笑｣

大ちゃんごもっとも。

昔から運動神経が乏しい俺は
球技はもちろん苦手だし
体力も無いから走ってもすぐバテる。

だからこの馬鹿みたいに騒ぐ大ちゃんとは
体育に関してはノリがついていけない。

｢有岡、パス！｣

大｢おっしゃ任せろ！｣

おらおらおらー、と勢いよく
相手のチームから奪い去ったボールを
バウンドさせながら走って、

俺と違って体育ガチ勢の有岡大貴。

大ちゃんとは家も隣だから
昔からずっと仲がいい。

偏差値的には余裕だったけど
やっぱり不安だった高校生活、

それでも大ちゃんと同じクラスに
なれただけでだいぶ
気持ちも楽になったけれど。

慧｢…大ちゃーん、｣

伊野尾慧、たった今その有岡さんに
置いていかれました。

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