Butterfly -tkin- 《1》 (ページ8)

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慧side

やば、次の授業間に合うかな…

今まで何気に真面目に授業を受けて
単位を落とした事はなかったから、
遅れたら逆に心配されそうだし。

よっ、と立ち上がって歩き出せば、
また走る左足首の激痛。

慧｢痛た…｣

ここは１階で、教室は4階。

ただでさえ4階に着く頃には息が上がる俺が
こんなんじゃ余計4階まで辿り着く気もしない。

慧｢はぁ、どうしよ…｣

しょうがないからゆっくりでも
教室まで歩いて行こうかな…

そう思って保健室を出ようとした時だった。

｢何組？｣

慧｢え？｣

後ろから俺の身体を支えてくれたのは
さっき処置をしてくれた
サボりの不良くん(見た目は)で。

｢そんなんじゃ次の授業間に合わないよ。
俺が連れてってやるから…

伊野尾くん何組？｣

" 伊野尾くん "。

確かに彼はそう言った。

やっぱり怖いのは見た目だけで、
根はすごく優しい人みたいで

そんなギャップと、
俺より少し背が高くて少し声が低い彼に

触れられた身体がほんの少し──
熱くなった気がした。

なに、これ…

こんなの、俺は知らない。

慧｢…いいよ別に。それじゃ
そっちが授業遅れちゃうし｣

｢いいって、どうせ次の授業も
出る気なかったから｣

慧｢いや、でも…｣

｢いいから、クラスは？｣

慧｢6組…｣

｢4階か、じゃ、行くよ｣

それは少し強引に、

それでも俺を支える彼の手は
少し遠慮がちで──

すごく、優しかった。

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