Butterfly -tkin- 《1》 (ページ12)

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大貴side

『2組の髙木』

その高木って人に、謝りたいんだって
伊野ちゃんは来た道を引き返そうとする。

大｢伊野ちゃん！

別に明日でもいいんじゃないの？｣

後ろから引き止めれば、
ちょこちょこと戻ってきた伊野ちゃんは
口をぎゅっと結んでいつもよりも垂れた目で。

慧｢確かに向こうも
もう帰ってるかもしれないもんね…｣

やっべ、昔から思ってたけど
伊野ちゃんの顔女子以上に女子だ。

大｢…てか、なにを謝りたいの？｣

慧｢朝、我ながら情けないぐらい
歩けないぐらい足、痛くてさ。

そしたらたまたま保健室にいた高木が
俺を教室まで送ってくれたの｣

大｢へぇ、それは運命の出会いだね♡｣

慧｢なに言ってんの？｣

大｢…何でもない、｣

慧｢そしたら俺は2時間目の授業
間に合ったけど、高木は遅れちゃって｣

大｢それは切ないやつだ｣

つうか、それめっちゃ良い人～、

慧｢だからそれを謝りたいん──

あっ、｣

大｢なに！？｣

慧｢いた！たかぎ、｣

大｢どこ？｣

慧｢ほらあの茶髪の、｣

伊野ちゃんが指さした先に目を向ければ、
…おっとこれはかなり予想外。

大｢まさかあのヤンキーみたいな人じゃないよね？｣

慧｢ううん、あれ。たかぎ｣

その保健室の｢優しい人｣は
むしろ｢優しい人｣からかけ離れた

チャラついた、
不良生徒のような見た目をしていた。

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