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雄也side





こんな大好きな人と
大好きな海に来れたんだって思ったら

すごく嬉しくなって
俺までそっと口角が上がって。





慧「…よかった、」





そんな俺の隣で、伊野尾くんが
そんなこと呟くから思わず聞き返した。





雄「え?」





慧「たかぎが嬉しいなら俺も嬉しい」





雄「なに、いきなり…」





戸惑う俺を見て笑う伊野尾くんに、
今更ながら誘われた意図に気づく。





.





そっか、伊野尾くん海に来るの
ほんとはそんなに好きじゃないもんね。





なのに俺に楽しい思い出を作ってくれようと
それは下手くそに、言葉にはしないまま。





…いい子になるのが苦手な伊野尾くんが
考えた、精一杯の優しい贈り物だった。





雄「ありがと、ちゃんと受けとったから」





慧「へへ、たかぎもう二十代最後でしょ?

もうこんな事しか思いつかなかった」





雄「いいよ、もう十分ですから」





慧「ほんと?
やっぱりずっと残るものがいい?」





雄「うーん、伊野尾くんがいるなら
どっちでもいいや」





慧「…やめてよ、俺が照れちゃうから」





雄「いいじゃん、照れてるいのーくん
めっちゃ可愛いし」





白い頬を少し赤く染めて、
その華奢な肩が小さく揺れる。





また胸が熱くなって、
自然に触れた指をそっと絡めた。






.

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作者名:Jasper | 作成日時:2019年3月15日 13時

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