うみとゆき -tkin- (ページ26)

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大貴side

天然のフリして計算尽くしの人より、
高木みたいに馬鹿で鈍感で
つまらない事で手叩いて笑うような

そんな奴の方がよっぽど愛しい。

大｢だから、俺は高木も嫌いになれないの｣

雄｢え、それはどういう…｣

あーぁ、高木には伝わらないみたい。

でもいいや、俺はそれをちゃんと
言葉にするの得意じゃないし。

雄｢──今度さ、

またみんなで花火しようよ｣

そしてまたいきなり何を言い出すんだと、

でも高木のことだからずっと言おうと
胸に溜めてた台詞なんだろうなって思って。

大｢季節外れもいいとこだけど、
夜なら楽しいもんね笑｣

そう言ったら、｢やった！｣って
本当に嬉しそうな顔して笑う。

大｢…そういうとこ。｣

雄｢えっ？｣

大｢ううん、なんでもなーい。

じゃ、そろそろ部屋戻るね、おやすみ｣

雄｢あぁ、うん。おやすみ有岡くん｣

はっきり言わない心の声を
高木は悟ろうともしないけど、

きっと今夜も" これないと眠れない "って
即席抱き枕つくって寝るんだって思ったら
なんかそれもどうでもよくなって。

パタン、と静かに閉めた扉の前。

大｢ったく、なんでお前は…｣

裕｢いや、大ちゃん呼びに来たら
なんか入りずらくなっちゃって…｣

" あっ、今の話は聞こえなかった設定に
しといてあげるから！ "と
本日俺と同室の裕翔が、困ったように、

でもどこか嬉しそうに笑って待っていた。

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