DROP -mmru- 《番外編》

05 ページ5

深澤side





.





「…なんかこれやだ、」





" こんなの大怪我みたいじゃん、" と
不服そうに口を尖らせるうちの子は、

手首から掌までグルグルと巻かれた
白い包帯が気に入らないらしい。





阿「いいじゃん、ほら、なんか…
ボクシング選手みたいでかっこいいよ？」





──こいつ、また適当なこと言って
誤魔化そうとしてるな。





まぁいい、我が子のためなら乗ってやろう。





深「そーそー、男の勲章って感じで
かっこいいぞラウ！」





「絶対嘘じゃん…」





さすがにもう子供騙しには引っかからないのか、
一人ふっ、と深いため息をつくラウールさん。





なんかすげぇ哀愁漂ってんな…って、
そういやうちの子もう大学生なんだっけ。





阿「さて、リハ再開してるだろうし、俺らも戻る？」





「あ、めめ…、めめは？」





阿部ちゃんが練習に戻ろうと促したのも束の間、
ラウが焦ったように呼んだのは、あいつの名前。





そっか、めめはラウの大事な本命だもんね。





深「めめなら、奥で寝てるよ。

起きるまでそばにいてやりな？」





愛しの我が子の甘くて純粋な想いに、
俺が入り込むわけにはいかないから。





「うん…」





阿「じゃ、同期コンビは帰りますか」





深「ラウ、何かあったらすぐに先生呼ぶんだよ？」





「めめ…大丈夫なの、？」





やっぱり自分のことより
めめのことが気になるらしいうちの子。





そういやまだちゃんと伝えてなかったなって

ちょこんと椅子に座るラウの頭を撫でながら、
俺もしゃがんでラウと視線を合わせる。





深「ちょっと疲れちゃっただけだって。

点滴終わったらまたすぐ戻って来れるよ」





「ほんと…？」





深「ん。だから、めめが早く元気になれるように
ラウが傍にいてあげな？」





そんぐらい、あいつはお前のこと
誰よりも愛してるんだからさ。





.

06→←04

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す