DROP -mmru- 《番外編》

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目黒side





いきなりお化けが怖いとか言い出して、
また適当なことでも言ってんのかと思えば

ちょっかい掛けただけで身体縮こませて
きゃあきゃあ乙女な悲鳴上げてるし。





お前、そういうあれで
俺の事呼んだんじゃないの？なんて





…ここまで来といて今更聞けねぇよな。





.





甘い香りを漂わせながら髪を洗うラウを
後ろからぼーっと眺めてたら、

不意にラウが怪我した右手を
使いずらそうにしてることに気付いて。





踊ってる時はあんまり気にしてなかったけど、
そういえばこいつ手首痛めてるんじゃん。





ぎこちない左手で痛む右手を庇いながら、
…俺がいるから、言い出せずに隠そうとして。





目「ラウ、」





大事な時に頼ってくれないのは、どっちだよ。





「…え？あ、」





俺の声に振り向いたラウの髪に手を伸ばして、
" いいから前向け、" と無言で促す。





そのままラウの泡立つ髪をわしゃわしゃと、

最初は戸惑ったけど、やっぱり一緒に
入っといて正解だったな、なんて思いながら。





「…大丈夫なのに、」





流れに身を任せつつ、鏡越しに見える
ラウのどこか不服そうな表情を浮かべて。





目「お前は黙ってじっとしてろ。」





変なとこで気を遣って我慢するラウは、

それを強引にでも突破しない限り
いつまでも無理しちゃうタイプだから。





綺麗な黒髪を洗ってしばらくすれば、
ラウも気持ち良さそうに目を閉じて

熱い湯気に体温が上がったのか、
柔らかそうな頬を薄紅色に染めていた。





…幼い子供みたいで、可愛い。





「めめ上手いね、美容師さんなれるよ」





なんだかんだでトリートメントまで終えれば、
ラウもすっかり満足気なご様子。





幾分か痩せて少し骨ばった身体で、
でも中身は相変わらず赤ちゃんなんだなって

不意にまた胸の奥がキュってなって、
俺はラウの紅潮した頬に手を伸ばした。





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