DROP -mmru- 《番外編》

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ラウールside





突然の衝撃に、強ばっためめの肩が
脱力したようにゆっくりと下がっていく。





さっきみたいなやつは照れちゃうから、
せめて、今の俺ができる精一杯の分だけ。





ほんの数秒間触れ合った唇を静かに離せば、
めめが閉じていた目をそっと開いて

吸い込まれそうなぐらい綺麗な瞳が、
真っ直ぐに俺を見つめた。





目「…」





不意に雲が月を覆って、辺りが暗くなる。





街灯の小さな灯りだけを頼りに
夜に呑まれて黒く染まるその瞳を追えば、

重なる視線に胸がドクンと波打った。





「めめ、好き。」





多分、その気持ちに負けないぐらい…





「大好きだよ。」





面と向き合って素直な言葉を口にするのは難しい。





でも、今はなんか、不思議と恥ずかしくなくて
むしろ、今言わないと後悔するって思ったから。





目「うん、」





小さく頷いためめと視線が重なって、
胸が甘くて苦しい愛しさでいっぱいになって。





好きな人が自分を好きになってくれるって、
そんな奇跡起こる訳ないって思ってたけど

19歳、大人と子供の分岐点で
俺はきっと、その奇跡を目の当たりにした。





目「──俺も。」





.





冬の気配を滲ませた少し冷たい風が頬を撫でて、
見上げた夜空が二人を帰路へと急かす。





「めめ、送ってくれてありがとね。

…バイバイ、また明日。」





本当は朝日が昇るまでずっと一緒に居たいけど、
めめはきっと明日も朝早いだろうから。





" 好き " がここまで人を欲張りにするものなんて
知らなかったなぁ、なんて呑気な頭で
今はめめに抱きつきたい欲望を理性で抑えて。





目「ん、気を付けてね。」





" 知らない人についてっちゃいけないよ、" と

出会った頃から変わらない過保護な言葉に
俺は " 分かってるよ、" と頷きながら。





名残惜しい手を静かに離した後で、

めめは俺が角を曲がって見えなくなるまで
優しく笑いながら手を振ってくれた。





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