検索窓
今日:9 hit、昨日:26 hit、合計:18,018 hit

8話 ページ8

その日の夜。


私はイルミお兄ちゃんにされたことが頭から離れなくて、なかなか眠れずにいた。


あれって……キス、だよね。


未だに唇の感触が残ってるところをそっと触る。


お兄ちゃんの唇、冷たかった……。


って何考えてんの私!


火照った顔を冷まそうと水を飲みに行くと、書斎から灯りが漏れていた。


そっと覗くと、お兄ちゃんが椅子に腰掛けて本を読んでいた。




「……A? こんな時間にどうしたの」


「ちょっと眠れなくて……」




お兄ちゃんは本を机に置くと、指で自分の膝をトントンと叩く。


……ここに座れってことかな。


シ、シツレイシマース。


謎に緊張しながら座ると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。




「Aはあったかいね」


「お兄ちゃんが冷たいんだよ」


「そう?」


「そうだよ。だってキスした時だって……」




そこまで言いかけてハッとする。




「な、なんでもない」


「言ってよ。気になるじゃん」


「……その、お兄ちゃんの唇が冷たかったなって」


「嫌だった?」


「い、やではなかったけど……急にされてびっくりした」


「じゃあ次からちゃんと言うよ。キスしていい?」




違う! そういう問題じゃない!


でも「だめ」なんて言えなくて、私はコクリと小さく頷いた。

9話→←7話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
125人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あおい | 作成日時:2021年10月2日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。