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『若利くん、ありがとう守ってくれて』
なんだか可愛く思えてしまって、若利くんの頬に手を伸ばす。
ただでさえ赤い顔が、さらに赤くなる。
「すまない、Aに怪我があってはいけないと思ったのだが。」
『優しいんだね』
「そんなことはない。」
またいつの日かと同じ会話。若利くんは本当に優しい。
『いつまでこの体勢なの?』
「もう少しだけ、嫌か?」
『嫌じゃないけど…』
若利くんが、軽い力で抱きしめてくる。
広い胸が、ロードワーク中に出会ったあの頃を思いださせる。
この状況を誰かに見られたらまずいことは重々分かっているはずなのに、まだ若利くんは離してくれない。
でも、心地いい。
授業中に居眠りしなかったからだろうか、だんだん眠くなってきて、私は若利くんの腕の中で眠ってしまった。
目を覚ますと、みんなの掛け声が聞こえてきた。
どうしよう、やらかした。私、あのまま寝たんだっけ?
床に寝かされていて、上からみんなのジャージがかけられている。
幸い、鷲匠先生はウォームアップの時はいつも居ない。
バレないうちに立ち上がって、みんなのジャージをたたむ。
ドリンク作りと今日は試合形式っていってたからビブス取りに行かないと。
「A!起きたのか?ぐっすりだったなー!」
ウォームアップが終わったらしい英太くんに声をかけられた。
「若利が運んでくれたんだ。後でお礼言いな。」
隼人くんと獅音くんも微笑んでそう言ってくれた。
よかった、みんな怒ってない。
『ごめんなさい!すぐドリンク作るから!』
なんでみんな起こしてくれなかったの!と半分拗ねながらいつもの業務に手をつける。
毎日忙しないマネージャー生活だけど、温かいみんなとなら何も悪いことはないなあと改めて感じた。
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ピンス(プロフ) - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (3月26日 9時) (レス) @page21 id: a7fb103bed (このIDを非表示/違反報告)
ふみ - わぁ〜!!超イイ話です👍 高評価とコメントさせていただきま〜す (3月11日 23時) (レス) id: 567d5d614d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みあ | 作成日時:2024年2月22日 0時