3 ページ3
・
今年も研磨と私はおなじクラスで、春だって言うのにほとんど何も変わらなかった。
2人と一緒にいる日々も1年しかないと考えたら、尚更言うタイミングを逃し続けた。
当たり前にこんな日々が続くと思っていたし、2人もきっとそう思って疑わない。
夜中に1人で涙する日も少なくなかった。
そんな日も続き、研磨とてつくんに声をかけられたのは夏休みが明けた9月のこと。
家を出た瞬間、私のおはようよりも先に研磨が口を開いた。
「A、昨日泣いたでしょ。目腫れてるよ。」
てつくんがあーそれだけは触れずにいたのに、と嘆く。
「最近A、よく目腫れてる気がすんだけど、なんかあったのか?」
幼馴染の2人には隠せなかったようで、ようやく引っ越すことを打ち明けた。
「そっか、寂しくなるな。」
「そうだね。」
てつくんがそう言って、研磨が相槌をうつ。
それが2人なりの優しさで、それ以上は何も触れてこなかった。
オフの日はこれまで以上に遊んで、一緒にいる時間も増えた。
テストも真面目に勉強するなんてやめて、3人で夜まで話した。
春高ももちろん観に行ったし、ゴミ捨て場の決戦とやらもしっかりこの目に収めた。
きっと私が観れる最後の2人のバレー。涙が止まらなかった。
てつくんは引退した後、受験勉強に打ちこんだ。
引退したらいっぱい遊びに行こうね、なんて約束も果たせないまま卒業式を迎え、研磨と一緒に花束を送った。
てつくんの大学も無事に決まり、私は編入の手続きと引越し準備で忙しくしていた頃。
携帯電話に1本の着信があった。
"黒尾鉄朗"
『もしもし?てつくん?』
「もしもし?A、今時間ある?」
『うん、どうしたの?』
「ちょっと話したくて。」
珍しいてつくんからの着信に、驚きながらも部屋着のまま家を出る。
200人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒尾ファン - この作品最高です。続き待っとるんで頑張ってください。 (3月31日 21時) (レス) @page6 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みあ | 作成日時:2024年3月14日 9時