【丸井ブン太】雨色トライアングル【切原赤也】

雨24 ページ25

ー丸井sideー




『Aー。帰るぞ。』




A『はーい。じゃあ先輩たち、お先に失礼しますっ！』



仁王『ちぇっ、ブンちゃんのやつせこいのぅ。』



『へへっ！じゃあなー！』



幸村『A、気をつけてね。』



A『はい！さようなら、』






1番のりでテニスコートをでてAと帰る。




『あー疲れた。』



A『丸井先輩、今日頑張ってましたもんね。』



『だろぃ？今日はなんか気合はいった！！』



A『ふふ、いつもその調子でいくといいんですけど。』





Aと一緒に帰るのは楽しい。



はなしもすげぇ盛り上がって、あっという間にAの家に着いちまったし。




けど、やっぱりまだ無理やり笑ってて見てるこっちが痛々しい。


Aには笑っててほしいんだけどな。






A『…丸井先輩、』



『ん？』



A『送ってくれてありがとうございます。』



『おぅ！』



A『…明日からもよろしくお願いしますねっ！！』





そう言って笑ったAの顔が、なぜか家に帰ってからも頭から離れなかった。








『俺も世話好きだよなぁ…。笑、』




自分の部屋のベッドに寝っ転がりながらつぶやく。



いくらかわいい後輩とはいえ、ここまでするなんて今までの俺だったら考えらんねぇ。




俺がやってることがAのためになってんのかわかんねぇけど…、


普通に笑ったAがみたい。とは思う。





あいつは甘えんのが下手だから。


すぐ強がるから。







『A……か。』




無理やり笑ってるというより空っぽな笑い方だったな。


何か、忘れているようなかんじ。




そんなあいつの笑顔を思い出しながら、俺は、





『これから毎日Aと登下校すんのか…。』




そんなことを言いながら自分の声がちょっと弾んでるのに気づいた。




やべぇ、顔も緩んでるわ。


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