【丸井ブン太】雨色トライアングル【切原赤也】

雨22 ページ23

授業はただながれていくように、あっという間に終わった。




なんか、今日は空っぽの1日だったな。

これから毎日そうなっちゃうのかな。







『赤也、テニスコートいこ……って、はぁ。なにまた補習？』




机にうつぶせになって唸ってる赤也。


そういえば今日は英語の小テストの返却日だったっけ。





赤也『A〜っ！助けて！！！』



『嫌。』



赤也『んな冷たいこと言うなって！頼む！！』





手を合わせてお願いする赤也。


いつもの光景なのに、なんだかすごく愛おしく、せつなく感じる。





『…わかった、わかった。じゃあ早くやって部活いくよ。
今日は赤也の好きな試合形式だって。』



赤也『マジで？！よっし！A、はやく終わらせるぞ！！！』



『はいはい。笑、』









誰もいない教室。


赤也のバカみたいな声とシャーペンの音が響く。





赤也『あーもー全然わかんねぇ！！』



『ほらほら、そうやって投げ出さないの。もう一回言うからよくきいててよ？』



赤也『…おぅ！』






赤也は馬鹿だけど一回理解するとスラスラ解けるやつ。



理解するまでに時間がものすごくかかるし、すぐ忘れちゃうからテスト前とかは意味ないんだけど。笑、





赤也『よっし！できた！A、見ろよ！！』



『……おっ、正解。やればできるじゃん。』



赤也『よっしゃあ！！！』



『この調子で頑張れ。あと少しだから。』



赤也『おぅ！』






こうしてそばにいるだけで、「幸せだなぁ。」と思えなくなったのはいつからだろう。




あわよくば、隣で手をつないで笑っていたい。


赤也がこれから出会う人の「1人」になりたくない。




そんな、欲がでてきたのはいつからだろう。






赤也が一生懸命勉強をしてる横でそんなことを考えてた。


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