【丸井ブン太】雨色トライアングル【切原赤也】

雨15 ページ16

ー丸井sideー




赤也と普通に話すAの姿が痛々しくて見てられなかった。




笑うなよ。


無理して笑うなよ。





Aの手をひいて観覧車に乗りこむ。


握りかえしたAの手がちょっと震えてるのがわかる。






『A…、』



A『なんですか？』






知ってる。



こいつは甘えるのが下手なんだって。


ほんとは泣きたいのに泣いたら俺に迷惑がかかるとか思ってんだろ。





『赤也も女見る目ねぇよな。笑、』





そう言って笑ったら、Aも笑って。







A『…ずっと一緒にいたんですよ。ちっちゃい頃からバカな赤也もカッコいい赤也も。
全部、全部見てきました。』



A『私、赤也のことだったら誰よりもわかってる自信あります。
たぶん、本人より。笑、』






Aがゆっくりと話だす。



俺は黙ってきくことしかできない。






A『いい機会だと思います。
これから先、赤也が私のこと好きになる可能性はないんだし、ちょうど諦めがつくっていうか。』





「もう、正直この関係も疲れました。笑、」そう言って笑うAがなんかすげぇ弱くみえて。


今までこんなA、見たことなかったから。



何て言えばいいのかわからなかった。






『…そうだな！お前の良さ、わかってくれるやつもっといっぱいいるって！！』





バカみたいな顔で笑うことしかできなかった。






A『いろいろと気をつかってもらっちゃってすいませんでした。
でも、これから大丈夫なんで。笑、』



『おぅ！…辛くなったらちゃんと言えよ？』



A『えー、丸井先輩に言っても…、』



『んだよ、それっ！！』



A『あはは、冗談ですって。笑、
ありがとうございます。』






それからくだらない話をしてた。




結局、Aは最後まで泣かなかった。


______________________________________________________________________

雨16→←新作書いたんです。←

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す