英雄は灯台もと暗し*jk* (ページ21)

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「アイツ、誰？」

駅前のコーヒーショップで、ようやく手を離してくれたジョングクさん。
勝手に注文されたコーヒーが目の前のテーブルに置いてあって、
砂糖を二つ入れることまでわかってくれてる、それだけでもキュンてしちゃう私は単純だ。

『ジョングクさんには関係ありません。』

「誰かって聞いてんの。」

ジョングクさんの指が、忙しなくテーブルを叩く。

なんでそんなにイライラしてるのかわからないし、
どうしてテヒョンのことを気にしてるのかもわからない。

『ただの同僚です。』

「そうはみえなかったけど？」

『みえなかったなら、ジョングクさんの想像にお任せしますよ。では、失礼します。』

湯気が立ち上るコーヒーに後ろ髪をひかれながら、席を立った。
・・のは一瞬で、すぐに座らされる。
向かいの席から、ジョングクさんの隣に移動までさせられた。

「話、終わってない。」

タトゥーの入った指が、私の指に絡む。
いつまで私の気持ちをかき乱すんだろう。

『ただの知り合いのジョングクさんに、何の話をするんですか？』

「ただの知り合い？」

『じゃないんですか？』

ほら、何も言えないじゃん。
期待させたり、突き落としたり、ジョングクさんといたら気がもたないよ。

『帰ります。』

「そんなにわかりにくかったかな？」

『・・は？』

「Aへの態度。」

『何の話、』

もう、意味わからない！って立ち上がる前に引かれた手。
閉じ込められたジョングクさんの腕のなかで、あの日の記憶が一気に甦る。

あの香り。
そうか、私を助けてくれたヒーローは、ジョングクさんだったんだ。