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「あれ?Aちゃん。今日も残業?」
『先輩が出張ばかりだから終わらないの。』
「ふぅーん。」
先輩を理由付けに使ったことを心のなかで謝りながら、パソコンとにらめっこ。明日でもいい仕事だってバレないといいけど。
テヒョン、鋭いとこあるからなぁ。
「手伝うよ。なにすればいい?」
『・・え?』
「え(笑)?なんで嫌そう?」
『あ・・ううん、そんなことないよ?もう終わるから大丈夫。』
「じゃあ駅前まで一緒に帰ろ。」
『・・えぇ?!』
テヒョンが目を見開いて驚くと、デスクを叩きながら大笑いし始めて、
あーバレたなって諦めた。
「ホント、Aちゃんは嘘が下手だなぁ(笑)さ、帰ろ?」
立ち上がる頃にはテヒョンの肩に私のバッグがあって、
照明のスイッチに手をかけてるし。
つくづくテヒョンはいい男だなって思う。
・
「Aちゃんが残業する理由って、あの人でしょ?」
エントランスを抜けてすぐ。
見慣れた横顔がまだあって、また泣きそう。
『テヒョンって黙ってればいい男なのに。』
「それ褒め言葉ととるよ(笑)?」
『・・は?ちょっと!テヒョン!!』
にっこり微笑んで、歩くスピードをあげたテヒョン。
抗おうと歩みを止めようとしたけど、しっかり繋がれた手にひかれてできなかった。
ズキズキ痛い胸が余計呼吸を苦しくする。
ジョングクさんの視線が痛いほど刺さる。
真っ黒な影が立ち上がる。
ふわりとこの前の女の人と同じにおいがして、我慢してた涙がこぼれた。
「A!」
「あなたはAの何?」
「・・は?」
涙の跡に風が靡く。
少し冷たく感じたのは、なぜか睨み合う二人の空気のせいかもしれない。
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作者名:蒼しょこら | 作成日時:2022年7月29日 5時