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しばらくの沈黙。言わなきゃよかったと後悔。
気まずいというよりも、正体のわからない感情が頭を占めてる。
「俺だって、好きな人くらいいるよ。」
見えていた横顔が見えなくなる。
でも・・後悔したっていい相手なのにどうしてそんな風に思ってしまってるんだろう。
『だったら尚更です。』
そっと繋がれた手を緩める。
ズキズキと脈打つ胸が苦しくて逃げたくて仕方なくなって。
『早く行かないと氷溶けちゃう。きっとジミンが首を長くして待ってますよ?』
兄達とは違う大きな背中を押す。
ふわりと香る香水が忘れかけてたあの人と重なる。
たまたま同じ香水をつけてただけ。
そうに決まってる。
『好きな人には優しくしてあげてくださいね?』
「優しく?」
『そうですよ?じゃなきゃ離れる一方ですよ!そういう相談はジミンにしてみたらいいと思います。ただ口は軽いけど(笑)』
「へぇ(笑)考えてみる。」
ジョングクさんの背中に触れた手のひらと、耳に伝わる言葉がさっきまでの負の気持ちを消してく。
『ジョングクさん。』
「呼び捨てでいい。」
『じゃあジョングク?』
背中から手を離したと同時、ジョングクさんが振り返る。
気づけばたどり着いてたアパートの灯りが、ジョングクさんの穏やかな表情を照らし出してて
また胸が締め付けられて痛い。
『失礼な態度をとってごめんなさい。ジミンもユンギ兄もあなたにとても感謝してます。ありがとう。』
顔が熱くなる。急に縮まった距離感に戸惑う。
「Aだから、助けたんだ。」
「行こう」って私の手をひくジョングクさんが口ずさむ鼻唄は、とんでもなく上手だった。
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作者名:蒼しょこら | 作成日時:2022年7月29日 5時