塩ひとつまみ、砂糖少々。*yg* (ページ8)

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「先輩、聞いてもいいですか？」

例の事件が起きてから、私に任せきりだった店長が新店舗が落ち着いたからとちょくちょく顔を出してくれるようになって。

つまんないギャグを聞かされることにはうんざりだけど、
ミンくんの様子を気に掛けてくれるから、少し心穏やかに仕事ができてる。

『どうした？あー、これ？また店長が設定変えちゃったのかも。』

「まだ何も言ってないのに(笑)よくわかりましたね？」

『人の考えてること、わかっちゃうんだよねぇーなんてね(笑)さっき店長がいじってたから、もしかしたらって思っただけだよ。』

それにミンくんも少し愛想よくしてくれるようになって、
ファンのお客様とも穏やかに接してくれるようになったし。

「さすがっすね。ホソクが言ってた意味がわかる気がする。」

何より私をはじめとするスタッフにも自らコミュニケーションをとるようになって、
今度はスタッフにファンがちらほら増え始めるほど、ミンくんは変わった。

「対処法は？」

『あー、これはね。ここのパネルを開けて・・』

「ここ？」

私が指差したところをじっと見つめるミンくん。
教えてるだけなのに、なんとなく感じる視線の熱量。
真剣に聞いてるってことなんだろうけど・・なんだろう、違和感。

「あー、こうするんですね。」

コーヒーメーカーを覗き込む横顔と目が合う。
違和感が増してくと同時に、胸がざわざわと騒がしくなる。

「先輩。」

『ん？どうした？』

「意外と可愛い顔してるんすね？」

“意外とはなんだ！失礼な！！”頭ではそう突っ込んだけど。
ミンくんの緩やかに弧を描いた優しい眼差しをみたら、言葉として口から出てくることはなくて。
無視して、バッグヤードに逃げた私にミンくんはいつも通りで。
なんだか拍子抜けして、その日は珍しくミスを連発してしまった。