塩ひとつまみ、砂糖少々。*yg* (ページ23)

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『ミンくん？大丈夫？』

目の前で手をヒラヒラさせてみる。
しばらくして動き出したミンくんは、少し頬が赤くみえた。

「あ、すいません。」

フワフワの髪をぐしゃぐしゃに掻いて下を向くと、何か呟いてる。
でも、どうしてそんな事で悲しそうな顔してたんだろう。

『私の弟が何かした？もしそうなら、』

「いえ、違います。」

久しぶりに合わさった視線は射抜かれたみたいに力強くて、動けなくなる。
なんだろう、胸が大きな音を立てる。

「安心しました(笑)」

ミンくんがやわらかく微笑むと、私の手を引く。タクシーに乗せられても、行き先を教えてくれないまま。
二人の間には繋がれたままの手。

また頭が勘違いしちゃうよ？

『ミンくん、離してくれないかな？』

離そうと重ねた手に、また重なるミンくんの手。
こんなに大きかったかな？なんて、心臓がどくんて鳴る。
ただ微笑むだけのミンくんに、何も言えなくて
されるがまま、タクシーを降りて連れてこられた先。

『ミンくん、ちょっ・・』

「離しません。」

覚えのある香りはミンくんの香水と同じで。
ここがミンくんの部屋だって嫌でもわかる。

でも、この状況は混乱したままの頭じゃわからないまま。
それでも離そうとしないミンくんは、あっという間に私を抱きしめて小さく笑ってる。

「先輩に聞きたいことがあります。」

力が籠ったミンくんの腕が少し震える。
私の耳が押し当てられてるミンくんの胸から、私のと同じくらい早い音がする。

勘違いが期待に変わる。
そんな変化が起きるなんて想定外だけど、なぜか涙が出そうだ。