あざとさと、可愛さと、男らしさと。*jm (ページ13)

今日:7 hit、昨日:32 hit、合計:142,269 hit

＊13＊ページ13

会社に戻って遅めの昼食をとり終わったところでキム・テヒョンに呼び出される。

初めて踏み入れる営業のフロア。
誰に声をかけようか、入り口でうろうろしていたら
後ろから聞き覚えのある声が私を呼んだ。

「待ってたよー。報告書まとめるの手伝ってー！」

棒つきキャンディーを舐めながら、私の背中を押す。

ガラス張りの応接室のようなところへ入れられたかと思ったら、突然の仕事モードのキム・テヒョンに戸惑いつつ報告書をまとめていく。

「終わったー。ありがとう、助かったよ。お礼にひとつどうぞ？」

『結構です、仕事中なので。』

「堅いなぁー。」

すっかり仕事モードオフのキム・テヒョンは、私を苛つかせる。早く逃げよう。

『戻りますね。予定外の外回りのおかげで仕事が残ってますので。』

通じないだろう嫌味を吐き捨てて、棒つきキャンディーを押し返した手に重なる、キム・テヒョンの手。

「待って」もう片方の手が私の髪に触れながら、優しく解く。少しずつ近づいてくる視線が真っ直ぐすぎて逸らせない。

「テヒョン、部長が呼んでる。」

動かなかった体が動き出す。
絶ちきられた視線の先に、見慣れた背中。
今日はなんとなく気まずい。

キム・テヒョンが部屋を出ていってジミンと二人きり。

「ごめん、Aちゃん。」

少しの沈黙のあと、突然謝ったジミンに胸がチクリと痛む。

『こっちこそごめん。』

「Aちゃんは悪くないよ？悪いのは俺。あんなこと言って困らせちゃったし、勝手に帰ったり・・ホントにごめんね？」

伏せられた瞳に長いまつ毛が揺れる。
男のくせに私よりずっと女子力高いし、可愛いし、モテるし、かっこいいし。
そんな大切な存在を無くしたくない。

「昨夜のことは忘れよう？今までみたいに同期として仲良くしてよね。」

言葉にするのが精一杯で、ジミンの顔がみれなかったけど、
これでまた元通りだと、この時はそう思ってた。