愛してると言えない【HQ】 (ページ8)

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第五十七話ページ8

その日は仕事を教えて貰うということになった。

合宿でちゃんと動けるように。

「芝山！犬岡！Aに教えてやってくれ！」

アップが終わったのか、鉄朗さんの声で私の方に近付いてきた二人の男の子。

「俺犬岡走！よろしく！」

「芝山優生。えっと…よろしくね」

「赤葦A。よろしくね」

自己紹介を済ませ、2人にスクイズの場所や粉、タオルの場所、用具などの位置を教えて貰った。

2人に連れられスクイズと籠を持ち水道でスポドリを作り始めた。

「スポドリ作った事ある？」

「あるよ、うちスポドリは家でよく作るし。最近は兄に頼まれる事があるの」

「へぇー！お兄さんいるんだ！お兄さんスポーツやってんの？」

「バレーだよ。」

私がそう言うと凄く嬉しそうに”へぇー！お兄さんもバレーやるんだ！”と笑って言った犬岡君。

「赤葦さんのお兄さんって…もしかして赤葦京治さん？」

「そうだよ。赤葦の苗字ってやっぱり分かりやすい？」

「うん。」

最初から気づいていたのか、もしかしてという雰囲気で芝山君が聞いてきた。

やっぱり滅多に聞かないよなぁ…赤葦って。

私も初めて知ったし。

周りにいたら気づくよねぇ？

スポドリを作り終え、体育館に向かうと試合をしている最中だった。

今は鉄朗さんチームと山本先輩チームが戦っている。

得点的には鉄朗さんチームが12点。

山本先輩チームが8点で鉄朗さんチームを追っている状態だ。

「手伝ってもらっちゃってごめんね、試合入っていいよ。」

「ううん！いつも俺らがやってたことだから寧ろありがとう！いつもより早く終わった！3人ってすげぇーな！」

「休憩になると思うからそうなったらタオルと一緒に配ってくれると助かるよ。」

「了解！」

2人が試合に交代で入って行ったのを見ながら、私はベンチの横にドリンクの入った籠を置いた。

そして先程教えて貰ったタオルを取りに、部室棟の下の洗濯機が置いてあると所へ向かう。

そこに部活に分かれてタオルが保管してある。

それぞれ選手はタオルを持ってはいるが足りない時もあるらしいので、一応持っていくという感じだ。

スクイズは水道の近くにまとめて部活ごとに置いてあった。

…よし、ちゃんと覚えられてる。

タオルを取ると急いで体育館へと戻った。

その頃にはちょうど試合が終わっており、休憩に入った。