第六十六話 ページ17
全員を起こして私達は梟谷へと降り立った。
荷物をバスから取り出していると、聞き覚えのある大好きな声が聞こえた。
「黒尾さん。今森然高校が揃っているので、その隣の部屋に荷物を置いてください。分からないようでしたら案内しますけど、大丈夫ですか?」
「おぉ、赤葦か。了解、ってことは前回と違って俺らの部屋は端じゃないのか。…去年みたいに出来ないから騒ぐなよ?特に山本。」
「は、はい!気を付けます!」
「案内は良いよ、分かるから。」
「分かりました、あ、でもマネは分かんないかな?A、案内するから着いてきて。」
「分かった。」
京治について行く。
暫くの間無言が続いた。
しかし先に口を開いたのは京治だった。
「結構マネの仕事上手くやってるみたいだね。」
「…え?あぁ、うん。頼まれたことだしちゃんとやらなきゃでしょ?」
「確かにね。けどあんまり頑張ってる姿見られちゃうと、音駒の誰かさんとかみたいにAのこと取ろうとする人が増えるからなぁ。」
京治は分かりやすく顔を歪めた。
思い当たる人でもいるのだろうか。
まぁ、私は?
微塵も私を取ろうとする人がいるなんで思ってないんですけども…。
そもそも、私は京治しか見てないし??
気にする必要なんてないのに…。
なーんてことは言わないでおくけど。
クスリと私は笑って言い返した。
「何言ってるの…私は京治のものなんでしょう?」
「ふふっ。そーだよ。Aは俺のもの。だからちゃんと気をつけてよね。」
ピタリと足を止めて私の方へ向く京治。
マネの部屋へ行く道中、今は誰もいない道。
それを見計らったかのように京治は私の髪を梳き、束にして手に取ると髪にキスを落とした。
「な、何して…。」
私の顔は誰が見てもきっと茹でダコのように赤く染っていて、照れてると分かるだろう。
お構い無しに京治は続ける。
手に取った髪の束から手を離すと、私の髪はふわりと揺れた。
京治は私を見つめ、頬に手を当てるとゆっくりと撫でるように首へと這わせる。
「け、京治…?」
私が名を呼んでも、無言を貫き、まじまじと私を見つめる。
擽ったくて私が身をよじると楽しそうに京治が笑った。
「…っ。」
なんだその笑顔…怒るに怒れないじゃないか…。
そして次の瞬間京治は____
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黒猫。(プロフ) - 黒月さんのハイキュー作品がめっちゃ好きです・・・(悶え)これから合宿どうなるのか楽しみすぎて夜しか眠れません!!更新頑張ってください! (2022年1月7日 18時) (レス) @page13 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒月 | 作成日時:2019年5月3日 0時