愛してると言えない【HQ】 (ページ14)

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第六十三話ページ14

ぞろぞろと座り出す音が聞こえ始めた。

「隣いいか？」

私に声を掛けてきたのは鉄朗さんだった。

もしかして私の隣は誰が座るかジャンケンしてたとかじゃ…？

そんなわけないか。

「どうぞ。…あのなんのジャンケンだったんですか？」

「Aの隣は誰が座るかのジャンケン。見事に俺はその権利を勝ち取った！」

嬉しそうにニシシと笑う鉄朗さん。

……まさかとは思ってたけどほんとにそうだったなんて。

そんな嬉しそうに言われては小っ恥ずかしいな。

「そう…ですか…。」

「なに、ちょっと照れてる？」

「なっ…違います！そんなんじゃありませんから。」

「嘘つけ～顔ちょっと赤いぞ。」

「えっ…。」

私は頬に手を当てて確かめてみるが、横を見ればニヤニヤと笑う鉄朗さん。

…からかったなこの人！！

「…もう寝ます！」

「ふはっ。ん、おやすみ。」

恥ずかしくなって窓側を向いて話すと、クスリと笑って私の頭をポンポンと撫でた鉄朗さん。

「っ…。」

ちらりと鏡越しに鉄朗さんを見てみれば、あんまり優しそうな顔で私を見ていたもんだから、妙に緊張して寝ようにも寝れなかった。

私が見ている事は多分気づいていないだろうなぁ。

そのためか分からないけど頭を抱えてうーだのあーだの唸っている鉄朗さん。

何をしているのだろうか…？

頭を抱えてたのはご乱心真っ最中だったからなんて、私はちっとも気づかなかった。

(どうしよう！しれっと頭撫でたけどめっちゃいい匂いした！ってかからかうとめっちゃ面白いし可愛いっ…)

(言いたいことは分かるけどこっち見んなキモイ)

(酷いやっくん！！)

(さっさと寝ろばーか)

通路を挟んで隣にいた夜久と黒尾は目だけで会話をしていたのだった。