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「"…本気で言ってんのか?"」

『"これ(・・)がそういう意味にもなるんだけど"』



――名を呼ばれ、ひとつ口付けを交わした後、彼がくれたのはガーネットとトルマリンが埋められ、フルール・ド・リスの紋章が彫られたバレッタだった。

誕生日もクリスマスも何もしてやれなかったから、とそれをくれたのだが、それに込められた意味に少し頭を捻り、そして閃いた。



「"そんな意味あんのか"」

『"あぁ…ギリシャ神話は知らなかったか。まぁでも"この話"も悪くはないでしょう?"』

「"そういうことじゃねえよ。…お前がどうなるかもわかんねえんだぞ"」

『"大丈夫だよ、死んだりしないし。

…でも、もしもの時は、必ず"これ"を使う状況にする(・・)"』



「A――?」

『!あ、なに、コハク』

「…大丈夫か」

『うん、平気だよ』

「…私は無理に行かなくてもいいと思うぞ」



"何が"と聞かずともその言葉の意味はわかる。だが、ここまで来たら引く訳にもいかないのだ。



『心配してくれてありがとう。でも、大丈夫。"もしも"の時のためだし…何も無いように祈っててよ』

「あぁ…」

『(…そうだ、千空にああ言ったけど、そもそも"何も無ければ"いいのだ)』



4人で帰って来れるならそれでいい。でも、もし上手くいかなかったら…――。



『…はぁ』



…ああ、どうか、上手くいきますように。



* * *



「監視を掻い潜るために、科学のびっくりどっきりアイテムで逆サイドにひきつけてその隙に本隊が出発する!」

『この間作った"アレ"は?』

「あー、ありゃレベル2と3だな。まだ使わねえ」



ふーんと返事をしたそいつは、背中に食糧を背負い、腰には木刀を携え、皮袋には薬品や救急用品を詰めて持っていた。

そして、いつもとは少し違う服装を纏う。普段は見えている首筋や手首は隠れ、ワンピースの丈も伸ばしていた。

深く考えずとも、暗器を仕込むためなのだとすぐにわかった。



「…A」

『ん?』

「無茶すんじゃねえぞ。誰もお前を犠牲にしたいなんて思っちゃいねえ」

『…うん、わかってる。私だって、ここに帰ってきたいから』

「…信じるぞ、その言葉」



まっすぐ射抜くようにトルマリンを見つめれば、そいつもまた俺をまっすぐ見つめた。

――音爆弾を仕掛け、いよいよ全員が所定の位置に移動する。



『千空』

「…」

『…"行ってきます"』

「!」



そう言ったAの目には、確かに強く眩い光が灯されていた。

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たくあん(プロフ) - 八つ橋さん» こんばんは!コメントありがとうございます! 全部読んでくださってありがとうございます!!( ; ; )温かいお言葉凄くありがたいです!更新頑張ります! (2021年1月17日 23時) (レス) id: f926544a9e (このIDを非表示/違反報告)
八つ橋 - こんばんは、夢小説面白かったです、全部見ました、お身体にお気をつけて下さい。 (2021年1月17日 21時) (レス) id: ed846143d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たくあん | 作成日時:2020年12月29日 21時

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