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『じゃ、じゃあもう行くね!おやすみ――』
プレゼントも渡せたし、もういいだろうと思い立ち上がった瞬間、手を掴まれた。
「…もうちょい」
『あ……うん…』
たった一言、そう言われ大人しく千空の隣に座り直した。無意識に微妙な距離を空けてしまっていたのか、千空が少し私の方へズレると肩が当たる距離になる。
何か会話を広げる訳でもなく、私たちは冬の夜空を視界に入れただ寄り添った。
…何千年経とうと、やっぱり変わらないんだなぁ。空も、隣に座る彼も。
『…冬のダイヤモンド、綺麗だね』
「……ダイヤモンド…」
『うん。千空も知ってるでしょ、シリウス、リゲル、アルデバラン、カペラ、ポロックス、プロキオン…全部結んだらダイヤモンドの形みたいになる星座たち…
それぞれの神話もあってさ…あ、こういう話を子供たちにするのもありだね!今まで童話とか話してたけど神話も簡単にすれば…』
いいかも、と千空を見れば、眉を下げ優しく微笑むような笑みを浮かべていた。
…何、その顔、待って、恥ずかしい、なんで、そんな、でも、この顔はたまに見てた気もする…。
『(私を見る…愛おしそうな…)』
「A」
『はっ、い…!』
私の名を呼び、再び夜空を見上げた彼がそっと触れたのは私の左手の薬指。
それが示唆することなど、私でもわかってしまう。
…ま、まて、まだ千空は何も言ってない、たまたま当たっただけかもしれないし…。
言葉の続きを待っていれば、トントン、と指を叩かれた。
「…1年、待てるか」
『え…』
「あー…いや、違ぇ。1年待ってくれ」
『せん、くう…?』
「来年、必ず"ここ"に指輪嵌めてやる。
…後悔させねえから、俺を選べ」
『……はい』
「……A…!?」
返事をした私を赤い瞳が映せば、ギョッと驚いた表情をした彼。
何をそんなに驚いてるのかと思えば、頬を伝うのは冷たい感触。
…あ、泣いてるのか私。
「涙腺ガバガバかよ」
『ふふっ、でも、私が泣くのはあなたのせいだよ』
「あー…そうかよ」
『…ねえ、千空。私、今まであなたと居れるだけで幸せだった。目が覚めてからも、あなたが居るだけで心は温まったよ』
「……」
『でも、あなたが許してくれるなら…これ以上の幸せを望んでいいなら、私は喜んであなたの隣に行くよ』
「許しも何もねえよ。俺は、お前がいいだけだ」
『!……ほんと、もう…勘弁して…』
「ククク、おい、顔見せろ」
『ヤダ……』
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たくあん(プロフ) - 八つ橋さん» こんばんは!コメントありがとうございます! 全部読んでくださってありがとうございます!!( ; ; )温かいお言葉凄くありがたいです!更新頑張ります! (2021年1月17日 23時) (レス) id: f926544a9e (このIDを非表示/違反報告)
八つ橋 - こんばんは、夢小説面白かったです、全部見ました、お身体にお気をつけて下さい。 (2021年1月17日 21時) (レス) id: ed846143d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2020年12月29日 21時