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今日も今日とて、クロムが採ってきた鉱石を見るも、大したものは見つからなかった。
昼間は賑やかな倉庫が閑散とすると、それがまた、少しだけ、精神的に滲みた。
「ケータイが詰みなら詰みで、別の方法を探すだけだ」
『……』
彼はクロムの持って帰ってきた鉱石を見て、ただそれだけ言った。
『――"成功に不可欠なのは、肉体的にも精神的にも疲労を溜めずに、ひとつの問題にエネルギーを注ぎ込める能力である。"
一旦休もう、千空。落ち込んでる暇がないのはわかってるけど、十分な休息も大事だよ。エジソンだって休んでないわけじゃないもの』
「…それ、エジソンの言葉か」
『うん。まぁ彼は寝る間も惜しんでって感じだったんだろうけど、ミジンコの私たちには短くても質の良い睡眠をとることは必要なことだよ』
さ、寝た寝た。と科学倉庫に千空を押し込んでやれば、お前も寝ろ。彼の親指が私の目の下を撫でた。
「隈」
『あー…最近寝付き悪くて…』
「…眠れねえのか」
『…うん、寒いからかも』
そう言えば、赤い尖晶石が私を射抜く。
…あ、嘘だってバレてるなぁ。まぁでも千空が何も言わないなら私もこれ以上は言わない。
『じゃあ、おやす…「待て」
「そっちで寝る」
『え?』
「別に何もしねえよ」
『いや、その心配はしてないけど…どうしたの?』
「…ダメなのか」
『…ダメじゃ、ない』
…ええ…何その言い方…ちょっとときめいたじゃん…((
じゃあ行くぞ。と自分の寝具一式を持ち、私の家に入れば、さっさと布団を敷いて毛布にくるまった千空。
私に背を向ける彼の方を向いて寝転べば、小さな寝息が聞こえてくる。
『(別に一緒の毛布でもないのに、千空が居るだけで温かくなる…)』
…そういえば、昔からそうだった気がするなぁ。
彼を太陽だと比喩したのはやはり間違いではなかった。隣に居ると、お日様の光に包まれるようで、それこそ、昔ぽつりと呟いていた、自分が"布団になれる"かのような…――。
そんなことを考えているうちに、瞼が重くなってくる。
『お休み、千空』
* * *
こちらを向き少しだけ丸まって眠るそいつ。
あまりに無防備すぎる姿に、安心しきられてるのは嬉しいものの、男と認識されていないみたいで割と不服ではあった。
目にかかる黒い髪をよけ、そのまま手を頬に滑らせれば、ふっ、と少し表情が柔らかくなったA。
「…お休み」
そいつに背を向け俺も静かに眠りについた。
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たくあん(プロフ) - 八つ橋さん» こんばんは!コメントありがとうございます! 全部読んでくださってありがとうございます!!( ; ; )温かいお言葉凄くありがたいです!更新頑張ります! (2021年1月17日 23時) (レス) id: f926544a9e (このIDを非表示/違反報告)
八つ橋 - こんばんは、夢小説面白かったです、全部見ました、お身体にお気をつけて下さい。 (2021年1月17日 21時) (レス) id: ed846143d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2020年12月29日 21時