第222話 ページ47
.
「…で、実際のとこどうなんだ、煉獄」
「何の話だ?
「てめぇ、記憶も戻ってるし結婚もしてねえだろ」
昼休み。たまたま煉獄と2人になるタイミングが出来たため、あまり人の寄り付かないテラスへ出てその話題に触れた。
煉獄の方を見れば、少しだけ表情が崩れていた。
「…いつから気づいてた?」
「アァ?そりゃどっちだァ?結婚か?記憶か?」
「どっちもだ!」
「結婚はうちにきて3日くらい。指輪をしても何も言われねえウチの会社で指輪してねえから俺はシロだと思ってた。記憶は…」
と、頭に過ぎるのは真剣に画面を見つめる神凪を見る煉獄の姿。
その表情は、あまりにも
「……1週間くらい前か、それくらい」
「…そうか」
「…何で話さねえんだ、本当のことを言えば泣いて喜ぶぞ、アイツ」
「そうだろうな!目に見えてわかる!」
と自信満々に言う煉獄――その目に影が差す。
「…彼女が俺の事を未だに好いていることに、驚いたのと同時に嬉しくて、そして…少し怯んでしまった」
「…何を今更怯む必要がある?」
…本当に、今更。前世では散々好きだの愛してるだの言っていたのに、何故。
少しだけ怒気を含むような声色になったのは、多分、アイツの上司として共に働くようになって、その類の話を聞いていたからだ。
どこか、妹のように見ていたのかもしれない――。
だから、今はどうしても、アイツにとっていい方向へと転んで欲しいと思うのだ。
「…これまでの彼女の人生に於いて、俺という存在が頭の片隅にでもあったからこそ、本当は経験出来たことや、若しくはそれが原因で何か失ったものがあるのかと思えば、罪悪感が生まれた」
「…だから怯んだのかよ」
「俺が記憶を取り戻して彼女を思い出したのは23歳の時だ。聞けば皆、享年の年か若しくはそれより前に思い出したのだろう?だが俺は違った。
…仮に彼女が16で思い出していれば、それから6年以上はもう俺を思い続けているのだろう」
…なるほどねェ…。だから罪悪感か。
と、相槌を打ちながら、秒で来い。と呼び出しケータイを閉じた。
「じゃあその罪悪感含め、アイツを幸せにする義務はあんだろうが」
「あぁ、それは勿論」
「だったら言えばいい、前世と変わらず、真っ直ぐ育ってんぞ」
「そうか…なら、早く伝えねばな、俺も今でも変わらずに愛してると」
煉獄のその言葉と同時に、扉は開いた。
1984人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たくあん(プロフ) - なな号さん» コメントありがとうございます!貴重なお休みを使って読んでいただいて嬉しい限りです(;;)完結して数年してからもそう言っていただけてありがたいです!こちらこそ嬉しいコメントをいただきありがとうございます(*ˊ ˋ*) (10月31日 22時) (レス) id: 909cf7c15b (このIDを非表示/違反報告)
なな号(プロフ) - すごいいい作品すぎて休日一日使って一気読みしてしまった。そして鬼滅にまたハマってしまった。ほんと素晴らしい作品ありがとうございます‼︎感動しまくりでした! (10月25日 0時) (レス) @page49 id: 98aa855e93 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!1年前に完結している作品にコメントいただけると思ってませんでした!笑 嬉しい限りです!!(*^^*)ありがとうございました!! (2021年10月2日 22時) (レス) id: 514b72b12d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年10月2日 18時) (レス) @page49 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます! 感動していただけてよかったです!!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!閲覧していただきありがとうございました! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 5567af4702 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たくあん | 作成日時:2019年11月5日 23時