第219話 ページ44
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「お姉さん可愛いね。1人?待ち合わせ?」
「よかったら連絡先交換しない?」
『……』
…何故…私…?
解せないという顔をあからさまにすると、そんな顔する?と笑う2人組の男。
『あの、友達と待ち合わせしてるので…』
「そうなんだ!じゃあそのお友達もどう?」
『いえ、人見知りなので、かなり』
…これは嘘ではない。だって待ってる相手カナヲだもん。
『(これ、ここにカナヲ呼ぶのダメだな…連絡しとくか)』
「おっ、なに?もしかしてお友達に連絡?もう来るの?」
『いえ。あの、他当たってもらえます?鬱陶しいんで』
「強気なのもいいねぇ」
そう言ってケラケラと笑う男を睨みつけるも怯まない。
残念なことに、生まれ変わってから以前のような機敏な動きは出来ないし、そもそも喧嘩をしたことすらない(というかこんなご時世で下手に手を出したら捕まるし)
どうしようか、とケータイに視線を落としたまま無視していれば、不意に腕を掴まれた。
「お姉さん、ほんとは1人なんじゃないの?」
『はあ?』
「お友達には後で場所教えるといいからさ」
『っ!離してよ!触らないで!』
抵抗するも男の力に敵う訳もなく、足が縺れそうになりながらついて行くしかなかった。
…もう、最悪、
『(なんっで、こんな男と…)』
グッと唇を噛み締めた瞬間、不意に横から伸びた手が、私と男を引き離した。
「俺の連れに何か?」
「『!』」
大きく広い背中。芯のある凛とした声。
『あ……』
「チッ…待ってたの男かよ」
「行こうぜ」
「…行ったか……」
顔は見えない。でも聞き間違えるはずが無い。
「無事か?」
『ーーッ!』
煉獄さん、だ、
彼の顔を見れば、嬉しくて涙が溢れ出してしまいそうになった。
思わず抱きしめたくなるような衝動を抑え、あ、あのっ、と声を上げると、ん?と、優しく微笑む煉獄さん。
『れ、れんご…「杏寿郎」
「突然走ってどうしたの」
「ああ、すまない。彼女が困っていたもので!」
『…!』
艶のある長い黒髪、色白で美人な顔立ち、スラリと伸びる細い手足。
そして、彼女の左手には指輪が。
「ごめんなさいね、突然で驚いたでしょう。怪我はない?」
『……』
「?あの、本当に大丈夫?」
『あっ!えと、はい!すみません!助かりました!』
失礼します!と頭を下げ、私は急いでその場を離れた。
――だから、知る由もなかった。彼が私を見て微笑んでいたことなど。
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たくあん(プロフ) - なな号さん» コメントありがとうございます!貴重なお休みを使って読んでいただいて嬉しい限りです(;;)完結して数年してからもそう言っていただけてありがたいです!こちらこそ嬉しいコメントをいただきありがとうございます(*ˊ ˋ*) (10月31日 22時) (レス) id: 909cf7c15b (このIDを非表示/違反報告)
なな号(プロフ) - すごいいい作品すぎて休日一日使って一気読みしてしまった。そして鬼滅にまたハマってしまった。ほんと素晴らしい作品ありがとうございます‼︎感動しまくりでした! (10月25日 0時) (レス) @page49 id: 98aa855e93 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!1年前に完結している作品にコメントいただけると思ってませんでした!笑 嬉しい限りです!!(*^^*)ありがとうございました!! (2021年10月2日 22時) (レス) id: 514b72b12d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年10月2日 18時) (レス) @page49 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます! 感動していただけてよかったです!!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!閲覧していただきありがとうございました! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 5567af4702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年11月5日 23時