第215話 ページ39
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一瞬唖然とするも、彼はすぐに、ふはっ、と笑いだした。
「ははは!何とも君らしい言い回しだな!祝言の時ですら恥ずかしがってあまり口を開いてくれなかったが…」
『あれ?そうでした?』
悪戯っぽくそう笑って言えば、ポン、と頭に乗る大きな温かい手。
「俺はAと一緒に居られるならどこへでも行くぞ」
『…ありがとうございます』
2人で刀を構え、手短に動きの確認をし、私は走り出す。
…死がすぐそこに来ているのに、何だろう、この高揚感は。
「…っ、そこまでいくと気味が悪いね。どうしてこの状況で
『さあ?自分でもわかんない。…ただ、"終わり"が見えて安心してるのかも』
「!(あれ、この子の刃…赫かったっけ)」
『氷の呼吸 拾壱ノ型 氷乱綴』
流れるように刀を振り、防戦一方になる玄硪の背後で構える煉獄さん。
「知ってるよ、後ろで構えてるの、は…」
一瞬気を逸らした瞬間に、ブスリと腹を刺し、玄硪の動きを止めると、くそ、と声を漏らし藻掻く。
「炎の呼吸 玖ノ型 煉獄」
「――ッ!」
頸に刃がめり込むと、どうにか逃れようと暴れ出す玄硪。
『(堪えろ、煉獄さんが刀を振り切るまで…!)』
「はァ…離せ…!」
「お…落ちろ…!」
グッと力を込める煉獄さんの刃はいつものオレンジがかった赤ではなく、少し黒が混じったような赫い刀身に変わっていた。
「がァッ!!」
「逃がさん…!」
動きを止めようと必死になっていれば、背後からの刃をに気づかず、思いきり背中に刺さる刃。
『ゔッ…(耐えろ…!まだ…意識を保て…!)』
早く、落ちろ――。
「アアァアァ!!」
「うおぉおお!!」
スパァン…!
煉獄さんが刀を振り切れば宙を舞う頸。暴れていた身体もピタリと止まれば、腹に刺さっている刃が徐々に消えていく。
『(あっ…もうダメなやつ…)』
全身の力が抜け、バタリと倒れば、頸だけになった奴と目が合った。
「…あーあ、終わっちゃった」
『はぁ…はぁ…』
「でも、君たちももう無理そうだね。よかった」
『…はぁ…さっさと…くたばれ…』
「ふふっ…最後まで…強気だなあ…」
サラサラと消えていく玄硪を見送れば、ゆっくりと近づいてくる足音。
『…れ、んごく…さん…?』
「あぁ……終わったな…A…」
隣まで歩いてきたかと思えば、同じようにバタリと倒れた煉獄さん。
静かなその部屋に私たちの短い息が響き渡っていた。
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たくあん(プロフ) - なな号さん» コメントありがとうございます!貴重なお休みを使って読んでいただいて嬉しい限りです(;;)完結して数年してからもそう言っていただけてありがたいです!こちらこそ嬉しいコメントをいただきありがとうございます(*ˊ ˋ*) (10月31日 22時) (レス) id: 909cf7c15b (このIDを非表示/違反報告)
なな号(プロフ) - すごいいい作品すぎて休日一日使って一気読みしてしまった。そして鬼滅にまたハマってしまった。ほんと素晴らしい作品ありがとうございます‼︎感動しまくりでした! (10月25日 0時) (レス) @page49 id: 98aa855e93 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!1年前に完結している作品にコメントいただけると思ってませんでした!笑 嬉しい限りです!!(*^^*)ありがとうございました!! (2021年10月2日 22時) (レス) id: 514b72b12d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年10月2日 18時) (レス) @page49 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます! 感動していただけてよかったです!!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!閲覧していただきありがとうございました! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 5567af4702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年11月5日 23時