第213話 ページ37
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「もう詰みだね」
そう言って笑った鬼の両腕は次の瞬間には吹っ飛んでいた。
「!?」
「ええ〜…ちょっと待ってよ…」
『…はァ…はァ…!』
「適合するの早くない?」
息を切らし、刀を持つ彼女の右目は、いつもの綺麗な黒曜の瞳ではなく、藤色がかったくくすんだ色になり、瞳孔が開いていた。
…あれは、以前、我妻少年が言っていた…。
「(鬼化の…!)」
「どうなってるの、ソレ」
『…はァ…れん、ごくさん…!』
俺の前に立つ彼女の頬には痣が見えた。そして、痣が出ると右目はいつもの目に戻っていた。
「(…鬼の細胞の浄化…?いや、浄化というより抗体が出来てるから"今"は効いていないだけ…?結局時間次第か…?)」
『…ふぅぅ……私なら平気です。
「…ああ」
「…完全に鬼になるまでにはもう少しってところ?傷は?どう?」
『黙れ。次はお前の頸を貰う』
「あはは。その身体で?ちゃんと鬼になりなよ、傷治るよ」
飛んでくる刃を受け止め、鬼に返すように軌道を変えたAは、踏ん張った衝撃でブシュと足から血を流す。
『…ッ!(耐えろ…耐えろ耐えろ…!)』
「…ほんとに執拗いなあ」
「『!』」
苛ついた表情をした鬼は無造作に刃を飛ばす。
「(くっ…!軌道が読めん…!)」
ギリギリで凌いで居れば、ガキィン!と背後で刃を弾く音がした。
「すまない、助かった」
『いえ』
「……ねえ、何かしたでしょ?」
「…?」
にこり、と笑ってそう言う鬼の両腕はまだ戻っていなかった。
チラリとAを一瞥すれば、息を切らしながら少しだけ口角を上げた。
『まぁね』
「ふーん…まぁ毒でも浄化さえすれば別に…――!」
再び刃を飛ばそうと鬼が斬られた腕を伸ばせば、断面からドロッと崩れていく。
「…面倒だなあ」
『お前は確実にここで仕留める。誰も殺させはしない』
「いいよ、もう。どうせ君たちももう無理でしょ?その傷じゃ」
「……」
「相討ちになったとしても、鳴女ちゃんが君をあの方の元に引っ張り出すだろうし、もう何でもいいや」
そんな投げやりな言葉を紡ぎ、鬼が、ふふっ、と笑った瞬間に走る悪寒。
「そう、
『っ!煉獄さん!』
「!」
死角側からの攻撃を捌き、背後からの刃も防げば、背中でピシッと音がする。
痛みで思わず片膝を着けば、煉獄さん!と慌てたA。
――その瞬間、
『――ッ!』
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たくあん(プロフ) - なな号さん» コメントありがとうございます!貴重なお休みを使って読んでいただいて嬉しい限りです(;;)完結して数年してからもそう言っていただけてありがたいです!こちらこそ嬉しいコメントをいただきありがとうございます(*ˊ ˋ*) (10月31日 22時) (レス) id: 909cf7c15b (このIDを非表示/違反報告)
なな号(プロフ) - すごいいい作品すぎて休日一日使って一気読みしてしまった。そして鬼滅にまたハマってしまった。ほんと素晴らしい作品ありがとうございます‼︎感動しまくりでした! (10月25日 0時) (レス) @page49 id: 98aa855e93 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!1年前に完結している作品にコメントいただけると思ってませんでした!笑 嬉しい限りです!!(*^^*)ありがとうございました!! (2021年10月2日 22時) (レス) id: 514b72b12d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年10月2日 18時) (レス) @page49 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます! 感動していただけてよかったです!!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!閲覧していただきありがとうございました! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 5567af4702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年11月5日 23時