第209話 ページ33
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ぎゅっと、埋めていた顔を上げれば、以前光のない瞳のままの師範。
だけど、
『(玄硪の攻撃を防いで私を守るように腕を回してる…どうして…)』
「"頚を斬れ、A"」
『!』
目に映るのは、鬼を斬った時によく見ていた"ソレ"。
今は、師範が見えている。
「"お前の手で、俺を殺せ"」
『ま、待って…』
「"迷うな。全ては、無惨を倒すためだ"」
『師範…!』
「どこ見てるの」
『!』
ドンッと押されよろけた身体。直ぐに刀を持ち構えるも、煙が上がって状況が把握出来ない。
『(師範…!)』
「全く…どうして急に言うこと聞かなくなったんだろうねえ?もう用済みにしようか」
『!させるか!』
「?おかしなことを言うね。君が殺そうが俺が殺そうが一緒でしょ?」
『ちょっと黙れ、お前。
…氷の呼吸 玖ノ型 氷輪!』
玄硪と師範を引き離すように技を出し、動かなくなった師範を庇うように立てば、眉を顰める玄硪。
「…わからないな。君のお師匠とはいえ、鬼だよ?どうして庇うの」
『…まだ、"彼"に心が残ってるから』
「ないよ、そんなの」
『けど、なかったら私を守ってはくれなかった』
「!(痣が…)」
…家族を殺されてから6年。生きる術を師範に教えてもらって、今、鬼殺隊として生きている。
『何も無かった私に、生きる希望を与えてくれた。成長するまで、ずっと見守ってくれた』
「…だから?」
『一生かけても返せない恩を、師範はくれたんだ』
「…ならその師範に殺されても本望じゃないの?」
『違うね。お前は何も分かってない』
「…」
『"死んだ人間"が、"生きてる人間"へ望むことは、何よりも"生きる"ことだ。それが例え、"死んだ人間"のエゴだとしても必ずそう願う。
だから、私はそれを叶えるために…"生きる"ために刀を握る』
「話がわからないな」
『でしょうね。魂から鬼になった奴に、わかるわけがないよ』
シィィィ…と息を吐き、身体を熱くさせる。
ビキビキ、と傷口から血が溢れる感覚がするが、酸素を、血を巡らせ、熱を上げる。
『もう、
「そうだね、2人とも楽にさせてあげるよ」
飛んでくる刃を避け、玄硪と師範と一定の距離が出来たところで構えた。
「(そんな広い間合いで届くわけが…)」
『…悪いね、こう見えても"柱"だから。
…氷の呼吸 拾ノ型 氷牙炸魂』
「!(まさか…)」
『この技は距離がある程、威力は高まるんだよ』
…さようなら。
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たくあん(プロフ) - なな号さん» コメントありがとうございます!貴重なお休みを使って読んでいただいて嬉しい限りです(;;)完結して数年してからもそう言っていただけてありがたいです!こちらこそ嬉しいコメントをいただきありがとうございます(*ˊ ˋ*) (10月31日 22時) (レス) id: 909cf7c15b (このIDを非表示/違反報告)
なな号(プロフ) - すごいいい作品すぎて休日一日使って一気読みしてしまった。そして鬼滅にまたハマってしまった。ほんと素晴らしい作品ありがとうございます‼︎感動しまくりでした! (10月25日 0時) (レス) @page49 id: 98aa855e93 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!1年前に完結している作品にコメントいただけると思ってませんでした!笑 嬉しい限りです!!(*^^*)ありがとうございました!! (2021年10月2日 22時) (レス) id: 514b72b12d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年10月2日 18時) (レス) @page49 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます! 感動していただけてよかったです!!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!閲覧していただきありがとうございました! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 5567af4702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年11月5日 23時