第203話 ページ27
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ある日の朝方。何故か私1人だけがお館様に呼ばれた。
「…A…私は…知っているよ…」
『…?何をです?お館様…』
床に伏せるお館様の手に優しく触れれば伝わる体温。
「君は…他の子ども達とは…違う…」
『…?』
「数人…見てきたよ…まるで…未来から…来たような子ども達を…。Aは…あの子達と…同じ雰囲気がする…」
『…――!』
そう言われ、動揺すれば、本当…みたいだね…。と優しく言葉を紡ぐお館様。
…別に隠してた訳じゃない。ただ、こんな事を言っても信じてもらえる訳がなかったから、言わなかっただけだった。
『……本当は、物語の行く末を知っていました』
「…うん」
『ですが、それを
「…そうかい…。いいんだよ…君が…自分を…責めることはない…」
『…っ』
そう言われ、尚のこと自分が許せなくなった。大事な事を忘れさせられて、鬼となって生き返って、散々迷惑かけて…。
その上、この先本当なら守れたものも、もう守れないのではないかと、途方もない不安にも苛まれた。
「いいんだよ…君は…ただ…生きることだけを……無惨を倒す力を…貸してくれれば……」
『……』
「無理して…多くのものを…守ろうとせずも…君が思ってるより……みんな強い…それに…きっと…幸せだと思うよ…」
『…ありがとうございます、お館様』
相変わらず、お館様の声は落ち着かせてくれる。もやもやした気持ちが、少し晴れた気がした。
――そして、お館様とそんな会話をして数日後。
その日、空気は澄んでいて、心地よい柔らかい風が吹いていた。見上げると夜空には満天の星と、綺麗に浮かぶ三日月。
情緒のあるそんな日に、漂うのは不穏な気配。
『(妙な胸騒ぎがする…)』
どこか落ち着かなくて、刀を携えたまま、窓から空を見上げていれば、飛んできたのは鎹鴉。
「緊急招集!緊急招集ーッ!産屋敷邸襲撃ッ…産屋敷邸襲撃ィ!」
屋敷を飛び出し一直線にお館様の元へと向かう。
…その途中、
「A!」
「!煉獄さん!」
煉獄さんと合流し、共に全力で足を進めていれば木々の間から見えてくるお館様の屋敷。
『お館様…っ!』
間に合った…!そう、思った瞬間、
ドォオオン!
「『ーーーっ!!』」
激しい爆発音と共に、炎と黒煙が上がった。
『お館様ーーっ!!』
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たくあん(プロフ) - なな号さん» コメントありがとうございます!貴重なお休みを使って読んでいただいて嬉しい限りです(;;)完結して数年してからもそう言っていただけてありがたいです!こちらこそ嬉しいコメントをいただきありがとうございます(*ˊ ˋ*) (10月31日 22時) (レス) id: 909cf7c15b (このIDを非表示/違反報告)
なな号(プロフ) - すごいいい作品すぎて休日一日使って一気読みしてしまった。そして鬼滅にまたハマってしまった。ほんと素晴らしい作品ありがとうございます‼︎感動しまくりでした! (10月25日 0時) (レス) @page49 id: 98aa855e93 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!1年前に完結している作品にコメントいただけると思ってませんでした!笑 嬉しい限りです!!(*^^*)ありがとうございました!! (2021年10月2日 22時) (レス) id: 514b72b12d (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 最初から最後まで一気読みしちゃった笑、、、待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの?私バカなの?((((喧しいわ (2021年10月2日 18時) (レス) @page49 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます! 感動していただけてよかったです!!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!閲覧していただきありがとうございました! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 5567af4702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年11月5日 23時