【鬼滅の刃】生きるために刀を握れ！ 肆

第178話　 ページ48

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「霞の呼吸 壱ノ型 垂天遠霞」



ドォン！と激しい音が響けば、時透くんに担がれその場から再び距離を置く。



『時透くん！降ろして！』

「…」

『私なら大丈夫だから！本当に！それより時透くんの方が…』



と、そう言えばゆっくりと降ろされる身体。

ふと時透くんの顔を見上げれば、頬に現れるのは藍色に似た色の痣。



『(炭治郎と同じ…鬼のような紋様…)』

「Aは止血して、ここで待ってて。僕があいつらを倒すから」

『！』

「血を流しすぎてる。致命傷こそないけど、今のままじゃ危険だから」

『待って、本当に大丈夫なの。身体は普通に動くし、さっきより興奮も落ち着いて呼吸も使える…』



と、言葉の途中で殺気に気づき互いに型に入る。



『氷の呼吸 肆ノ型 氷肌玉骨』

「霞の呼吸 参ノ型 霞散の飛沫」

「小賢しい」



バァアン！



「しぶとい奴め」

『悪いけど、私の身体は私のものだから』

「貴様ではない。隣のそいつだ」



白漓は時透くんを指さすと面倒くさそうに言う。



「玉壺の攻撃で全身は痺れ、まともな呼吸も出来ないはずだ。身体に相当な負担がかかっているだろう」

『…そんなの、』

「だから、俺がその苦しみから救ってやろう」

「やれるもんならやってみれば？」



刀と刃がぶつかれば、ぶわっ！と風が起こり、時透くんに幾つか傷が入る。

背後から斬りかかろうとすれば、背中から生えた霧の刃。



『チッ…』

「…いいのか？玉壺はあっちで暴れているが？」

『「！」』

『…時透くん、やっぱり向こうに行って』

「A…『大丈夫』

『玉壺の方が強いだろうから』

「…」



グッと1度唇を噛んだ時透くんは、後で来るから。と言って走って行った。



「…馬鹿な奴め、これが最期だとは思わなかったのか」

『何言ってんの。私は人間として、これからも生きるから』

「何とでも言っておけ」

『氷の呼吸 捌ノ型 氷華！』

「血鬼術 霧鉈(きりなた)」



轟音と土煙が舞い上がる中、攻撃を出し削り合う。

一瞬、互いに距離を取り合った時、白漓が言葉を紡いだ。



「…お前と同じ羽織の女も、似たような状況まで追い込んだ」

『あ？』

「些かしぶとく、何やら強い拘りを持っていた…鬼になればよかったと今でも俺は思う」

『おい…』

「同じ隊員など放っておいて、自分の命を優先して生き延びればな」

『喋るな…』

「仲間など庇うから死ぬ。あの女の最期の言葉を教えてやろうか？知り合いなんだろう？」

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