第167話 ページ37
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「む、そうか!竈門少年が!」
『はい。今はもう回復訓練に励んでるみたいで…。私は最近、任務詰めであまり会えてませんが、元気にしてるみたいです』
「それはよかった!…彼はまた強くなったのだな」
ニコリと満面の笑みを浮かべる煉獄さんは、相変わらず布団の上で。
内臓を損傷してしまったからか、食欲がなく、体力がなかなか戻らないとのこと。
それでも、少しずつだが順調に回復はしてきていて、屋敷の外へも少しなら出ても良くなったらしい。
『(本当に…よかったなぁ……)』
「…A、先程君は任務詰めと言っていたが…今日は?」
『夜更け前に担当している地区へ巡警の予定です』
「……」
『?それが何か…』
「うむ!なら夜までゆっくりしていくといい!」
そう言って笑う煉獄さんから漂うのは怒りのような雰囲気。
…私、何か怒らせるようなことした…?
と、じっと見ていれば、腕を引っ張られ、布団の中へ引きずり込まれた。
『れ、煉獄さん!?』
「休息も大事だからな!夜に起こしてやろう!」
『えっ、いや、このまま!?』
「心配するな。無防備な君を抱きはしな『わーわー!』
『寝ます寝ます!ありがとうございます!』
* * *
すぅすぅと小さく寝息を立てる彼女。
布団へと引っ張り、優しく抱きしめたまま少しすれば、すぐに眠りに落ちたみたいで。
「(気づいていないのだろうか…)」
粧いで隠しているつもりの目の下の隈が消えていないこと。以前よりも確実に細くなった腕や顔。どこか遠くを見つめる瞳。
「(鬼の身体の時との差異に本来の身体が追いついていないのだろう…そしてそれを埋めようと任務や訓練に励んでいるようだが…)」
…疲弊したままでは質の良い訓練なんて、出来るわけないのにな。
「(必死なんだ…きっと……)」
以前のように戻ろうと。枷がなくなった今が強くなれる機会なのだと。
皆を守りたい。と、そう悔しそうに呟いたことが、まだ最近のことのようにも思える。
「…A」
そう名を呼んで、頬を撫でればふっ、と笑ったA。
「…全く……」
…君は一体どれだけ俺を惚れさすのだろうか。
惚れたが負けとは言うが、ここまでとは自分でも思わなかった。
「今はゆっくり休むといい…A…」
彼女の白い肌に口付けを落とし、俺も夢の中へと堕ちていった。
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たくあん(プロフ) - ひまわりさん» コメントありがとうございます!!(*´`*)嬉しいです!( ; ; )かなりの話数なのに!( ; ; )ありがとうございます!続編でも頑張ります!(*^^*) (2019年11月6日 12時) (レス) id: 217fb630d3 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - コメ失礼します!一気読みしちゃうくらい面白かったです!続きを楽しみに待っています\(^o^)/ (2019年11月5日 23時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - こね子さん» コメントありがとうございます!!めっちゃ嬉しい( ; ; )楽しんで頂けてよかったです!更新頑張ります!(*^_^*) (2019年11月1日 12時) (レス) id: 9978d450db (このIDを非表示/違反報告)
こね子 - すんごく面白いです!!今日、1話から一気読みさせて頂きましたが!先の展開が読めなくて続きが気になって仕方ない!!笑 更新楽しみに待ってます! (2019年10月31日 21時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ゆりかもめさん» コメントありがとうございます!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!!( ; ; )リクエストもありがとうございます!余裕が出てきたら書かせていただきますね!!(*^^*) (2019年10月27日 19時) (レス) id: 4fbafed690 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年8月9日 0時